憲法改正草案に用いられている「公益及び公の秩序」とは?
1947年5月3日に「日本国憲法」が施行されたことを記念して、5月3日は国民の祝日となりました。憲法記念日だからといって、日本国憲法について考える人は少ないかもしれません。けれども、憲法について無関心でいるわけにはいかなくなってきています。多くの人が関心を持たなければ、取り返しのつかないことになるのです。
自民党の憲法改正案
自民党が5月3日に公開した「憲法記念日にあたって」というタイトルの党声明に、「改正の早期実現に向けて全力で取り組んでまいります」と書かれています。
自民党の日本国憲法改正草案は、下記のページで公開されています。
緊急事態条項などに注目が集まっていますが、それ以外の部分にも様々な懸念があります。
例えば、「公益及び公の秩序」という言葉です。
「個人」として尊重される→「人」として尊重される
「公共の福祉」に反しない限り→「公益及び公の秩序」に反しない限り
パッと見ると大きく変わっていないように見えますが、わざわざ変えたということには、意味があるはずです。
さらに、この「公益及び公の秩序」は、表現の自由にも関わってきます。
「2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。」が新設されています。
「一切の表現の自由は、保障する」としていながらも、公益及び公の秩序を害すると判断されたら、表現の自由は認められないと読み取れます。
自民党が公開している下記の資料に、「公益及び公の秩序」に関する説明がありました。
日本国憲法改正草案 Q&A(増補版)
このように書かれていますが、「公益及び公の秩序を害する」かどうかは誰が判断するのでしょうか。
例えば、4月13日にパンデミック条約反対のデモが行われました。
もし憲法が草案のまま改正され、政府が自分たちに都合が悪いことは「公の秩序を害する」と判断したら、このようなデモはできなくなるのではないでしょうか。
弁護士や憲法学者など、多くの方が「公益及び公の秩序」について解説しています。それらを読む限り、国民にとってよい方向への改正ではありません。
新型インフルエンザ等対策政府行動計画(案)
5月7日18時までパブコメを募集している「新型インフルエンザ等対策政府行動計画(案)」にも、同様の懸念があります。
94ページ 情報提供・共有、リスクコミュニケーション(対応期)
「偏見・差別等や偽・誤情報への対策として、国は SNS 等のプラットフォーム事業者が行う取組に対して必要な要請・協力等を行う」と書かれており、「偽・誤情報への対策」として、SNSの書き込みが削除される可能性もあると考えられます。
では、誰が「偽・誤情報」を判断するのでしょうか。
コロナワクチンについて、厚労省やメディアは事実を報じてきませんでした。そして、まだわからないことの懸念についても、デマだと否定してきたのです。
このような基準で「偽・誤情報」を判断されたら、実際に起きていること、「事実」を伝える手段がなくなってしまい、命を守るために必要な情報を得ることも出来なくなります。
自民党の憲法改正草案も「新型インフルエンザ等対策政府行動計画(案)」も、政府に都合の悪い情報を隠せるように改正しようとしているように思えます。国民が無関心でいては、どんどんこのような方向に進んで行ってしまうのです。
「新型インフルエンザ等対策政府行動計画(案)」については、5月7日18時まで意見を送ることができます(下記参照)。
募集ページ
政府が進めようとしていることに関心を持ち、自分で調べようとする人が増えなければ、国民にとってよい結果にはなりません。
緊急事態条項については、こちらの動画がわかりやすいです。