文徒ジャーナル Vol.52

Index------------------------------------------------------
1)最近書店閉店事情 三省堂書店神保町本店の一時閉店
2)私は連合国騎士ヤマ―ダ、神官戦士レドマツをどうしても信用できない
3)宮沢和史「沖縄のことを聞かせてください」(双葉社)が厚くて熱い
4)日テレ「世界の果てまでイッテQ!」は反省しているのか疑問
5)書店カフェ「ココシバ」と「クルドの食卓」を刊行した書肆「ぶなのもり」
6)書評家・豊崎由美と文藝評論家・小川榮太郎がSNSで激突か
7)田中康夫と浅田彰による「憂国呆談」が「現代ビジネス」に移籍した!
8)最近書店閉店事情 アニメの聖地「マルサン書店仲見世店」が5月末をもって閉店
9)「文藝春秋」スクープに局内騒然!会長はみずほ銀行のようにNHKを壊すのか?
10)元社員が逮捕された博報堂プロダクツとは博報堂グループにとって何?
----------------------------------------2022.5.9-5.13 Shuppanjin

1)最近書店閉店事情 三省堂書店神保町本店の一時閉店

朝日新聞デジタルは5月6日付で「『神保町ありがとう』三省堂が一時閉店 古書店街の『粋』は今も」(田渕紫織)を掲載している。三省堂神保町本店で最も売れたのは外山滋比古の「思考の整理学」(ちくま文庫)であるらしい。
《5月8日午後8時、三省堂は141年続いたこの場所での営業をいったん終える。
店内に入ると、外山滋比古の『思考の整理学』がタワー状に積み上げられている。この店でこれまでに一番読まれた本だという。》
紙の出版市場の縮小も反映しているのだろう。仮店舗は現在の4分の1の規模だ。
《代わりに、6月1日から少なくとも3年間、仮店舗で営業する。場所は約300メートル離れた小川町で、地下1階から6階までが店舗。規模は現在の4分の1になる。》
《3年後、元の場所に戻ってくるのか。
中嶋課長は言う。「収益だけを考えたら、新たなビルのテナントには、オフィスだけ入っていただくことも議論にはなりました。でも、蔵書世界一とも言われる本の街・神保町に根を下ろしてきた価値を考えると、ここから離れるわけにはいかない」
新店舗の形は未定だが、書店も入る予定だという。》
https://digital.asahi.com/articles/ASQ526GKTQ4ZULEI004.html
「新店舗の形は未定だが、書店も入る予定だという」という書き方からすれば、「1~6階が売り場で、取り扱い書籍は140万冊」という、これまでのような規模の書店ではないのではないだろうか。毎日新聞は5月6日付で「『いったん、しおりを挟みます』 三省堂本店建て替えで8日閉店」を掲載している。
《現店舗は1981年3月に創業100周年の記念事業として完成した。1~6階が売り場で、取り扱い書籍は140万冊に上る。約40年にわたって本の町・神保町のシンボルとして親しまれてきたが、老朽化のため隣接するビルとともに建て替えを決めた。》
老朽化というよりも今のビルでは書店だけをつづけるしかなく、経営を考えるのであれば書店を「従」とした不動産開発に着手しない限り、もはや書店としての展望を見出せないのかもしれない。
https://mainichi.jp/articles/20220506/dde/041/020/016000c
東京新聞は5月6日付で「『本の街』の顔 惜別のしおり 建て替えのため8日に一時閉店 三省堂書店神保町本店」を掲載している。
《建て替え後の営業開始は二〇二五年を予定し、それまで現在地の東側の元ヴィクトリアゴルフ御茶ノ水店を仮店舗とする。仮店舗は六月一日にオープンする。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/175730
いずれにしても、現店舗の閉店を惜しむツイートが数多く投稿されている。
朝日新聞記者・福田直之《三省堂書店神保町本店は高校時代に通い始め、最も多くの本を買いました。1年前に単著を初出版した際、平積みを見て感無量でした。新本店が楽しみですが、記事によると古書街にも変化が起きているそうです。》
https://twitter.com/fukuda_naoyuki/status/1522480257680347138
YOASOBI《「あの夢をなぞって (Ballade Ver.)」を、明後日8日をもって建て替えのため一時閉店となる三省堂書店・神保町本店さんよりお届けしました。
未来に向けてひたむきに走る物語を原作とした1曲。あなたの心に届いていたら何よりです。》
https://twitter.com/YOASOBI_staff/status/1522528694111449088
小説家・蒼月海里《三省堂書店神保町本店さんにご挨拶にお伺いしました。
思い出いっぱいの建物がなくなってしまうのは寂しいです
蒼月コーナーは盛況だったようで、シリーズ一巻はほぼ完売状態でした
3枚目の写真は、作中によく登場させていたウッドデッキ。
今度の土日がラストランなので、是非お越しください》
https://twitter.com/aotsuki_kairi/status/1522466245278257152
「エキスパートナース」編集部《三省堂書店神保町本店さんは、自分がまだ右も左もわからない新卒すぐのころ研修させていただいた書店さんで、思い出が山のようにあります。あの頃はまさかエキスパートナースを担当するなんて思っていませんでしたが、人生何が起こるかわかりませんね…ありがとうございました!!!》
https://twitter.com/ExpertNurse_EN/status/1522568548207718400
北條一浩《昨日、三省堂書店神保町本店さんに寄ろうと思って行けなかった。長いあいだお世話になりました。再開を待ってます。しかし実際、書評担当編集者として、あそこが無くなるのは痛いです。》
https://twitter.com/akaifusen/status/1522715497870942209
神保町シアターのひと《神保町シアターへの道程をご案内するうえで重要な目印とさせていただいている三省堂書店さん、いよいよ明後日までの営業。この風景も見納めかー。》
https://twitter.com/jinbocho123/status/1522494583351164928

ここから先は

22,973字
【文徒とは】 デイリー・メールマガジン「文徒」はマスコミ・広告業界の契約法人経営者にクローズドで配信されている。2013年より月〜金のデイリーで発行し続けており、2021年6月で通巻2000号を数える。出版業界人の間ではスピーチのネタとして用いられることが多く、あまりにも多くの出版人が本誌を引用するせいで「業界全体が〝文徒〟になっちゃったね」などと噂されることも。

文徒ジャーナル

¥2,000 / 月

マスコミ・広告業界の契約法人向けに完全クローズドで有料配信されていたデイリー・メールマガジン「文徒」をオープン化。デイリーで配信されるメー…

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?