マスコミ その3
マスコミ その3
佐橋には妻と子供が二人いた。
仕事に追われていた為か晩婚であった。
子供は、一つ違いの長男、長女で、子育てはもっぱら妻に任せていた。
二人とも優秀であり、佐橋も将来を楽しみにしていた。
しかし、高校に入学したあたりから二人共申し合わせたように、性格までがらりと変わったようになった。
ひたすら、母親に逆らい全く勉強をしなくなったのである。
ある日、妻にその事を打ち明けられ、申し訳ありませんが、あなたから言って聞かせてあげて下さいと頼まれた。
佐橋は仕方なく、帰宅後、書斎に二人を呼び、「お前たちは、誰に育てられ誰にご飯を食べさせてもらってるんだ?‥」 と、ここまで言った時・・・、
長男が 「お父さんは、どこの国で育ち、誰の税金で、このような生活が出来る様になったのですか?
僕達はお父さんの背中を見て育ちました。
ですから日本という国に何の愛着もありません。安心して下さい。
お父さんの実家がある田舎が震災にみまわれた時に、命懸けで救助してくれたのは、お父さんの嫌う自衛隊であり、全国のボランティアの方々でしたね。
因みにお父さんはどこの国の為に仕事をしてるのですか?」
「C国とk国に決まってるじゃない」 と長女・・・
つづく
※作品は数年前のものです。勿論全てフィクション。