文酔人卍

ここに表現するものは随筆、短編小説に分類されると思う。しかし、生来お調子者の小生は、活…

文酔人卍

ここに表現するものは随筆、短編小説に分類されると思う。しかし、生来お調子者の小生は、活字離れ(読書離れ)が加速する時代に小さな波紋を起こすことを熱望する。古来、和歌全盛の折に俳句が登場したように短を是とする文学に挑戦するのである。まるでドン・キホーテのように・・・。

最近の記事

秋の夜長・・・

今、全国にコンビニエンスストアは何店舗くらいあるかご存知ですか? おおまか58000店舗らしいです。 どこにでもある感じですよね。 では神社は何社あると思いますか? 答  約78000社 お宮さん、コンビニより多いんですね。 では、お寺の数はどうでしょう? 答  約82000寺 もはやコンビニと比較になりません。 まだ、いきますよ。 古墳はご存知ですよね。 やたらでかい古代の墓ですね。 最も大きいものは、エジプトのクフ王のピラミッド、秦の始皇帝陵と世界

    • ダンディベア

      ある時代、北米大陸のどこか‥ 一匹の熊が真っ青に澄み渡った空を眺めていた。 しばらくそうした後、熊は歩き始めた。 そうしていつもの森の中へ入って行く。 少し歩いた所で熊は動くことをやめ、前方の様子をうかがう。 鹿の母親が子鹿を連れて歩いている。 幸いこちらは風下である。 熊は身じろぎもせずじっと見つめる。 子鹿が何かに興味を示したのか2匹とも立ち止まった。 しばらく子鹿は足元を鼻先や脚で突いていたが母鹿に促されるように歩き始めた。 熊はただ見つめるだけで動

      • わたし私詐欺

        ルルル‥ 「もしもし‥」 「あっ、もしもし私」 「おっ、さおりちゃんか。 ダメじゃないかこんな時間に電話してきちゃ」 「何言ってるの?わたしよわたし」 「えっ!もしかして、スナック桃色ピンクのなつきちゃんかな?」 「わたしって言ってるのが分からないの?」 「あのぉ、すみません、どちら様でしょうか?」 「馬鹿野郎!!! おまえの女房だよ!!!」 完 文酔人卍 イメージ画像は turbo 1019 氏 の作品を使用させていただきました。 感謝

        • 外来種

          生物の世界で外来種、在来種という表現がある。 外来種、英語では、Invasive Alien Species「侵略あるいは浸潤的外来種」と表現される。 もちろん、状況により表現の仕方は少しづつ変わるようである。 つまり、往々にして在来種を駆逐する存在として認識される。 つまり厄介者である。 時は縄文時代後期、日本列島の北部に 宇宙から飛来して来たと思われる物体が不時着した。 どうやら宇宙船の故障のようで、意図的に飛来したものではないようだ。 中からゾロゾロと鎧

        秋の夜長・・・

          オレオレ詐欺

          ルルル・・・ 「もしもし・・・」 「あっ、もしもし、俺だよ俺!」 「おっ、その声はもしかして田吾作か?」 「・・・ちげーよ!  お、俺だって!」 「ち、チゲ?・・・ チゲ鍋?」 「あのなぁ・・なに言ってんだよ!おーれ、俺だよ」 「そうか分かった、おまえ権左衛門だな?」 「ごっ‥‥ゴンザエモン?・・・」 「違うのか? おかしいなぁ‥ うーん、うーん、 その声はたしか‥ あっ、思い出した、おまえ泥棒の五右衛門だろ?」 「ど、どろぼう? し、失礼なこ

          オレオレ詐欺

          大谷翔平選手

          コンコン 「入りたまえ」 「お呼びになりましたか?元大統領」 「まぁ、掛けたまえ」 「失礼します」 「さて、君は大谷翔平という日本人を知ってるかね」 「もちろんです。我国でも知らない人はあまり居ないでしょう。 今シーズンはドジャースの開幕戦が我国でありましたからねえ。 それがどうかしましたか?」 「聞くところによると、メジャーリーグでも凄い記録を連発してるらしいじゃないか」 「そうなんです! 前人未到の50.50、さらに55.55も達成するのではないかと

          大谷翔平選手

          生きがい

          克太郎は、数年前に現役を引退した。 長年勤務した上場企業で役員を目前にしていたが、派閥の取締役が失脚した為、下請け企業への転籍を命ぜられた。 一応役付き取締役での転籍であるが、下請けの非上場企業である。 克太郎は落胆したか。 否である。 多少の落胆は無かったかと言われればうそになるが、それよりも家族的な雰囲気の転籍先での勤務が大いに気に入ってた。 「俺は、本来こういう会社の方が肌に合っていたんだ・・・」 居心地の良さも手伝って、あっという間に役員定年を迎えた。

          実在するということ

          姉は、いつものようによく喋り、よく笑った。 「じゃ、まー君身体に気を付けて頑張るのよ」 「うん、お姉ちゃんもね。ばいばーい」 正弘はビデオ通話のスイッチを切った。 生前の姉そのものだった。 実際、半年間、姉の死を知らずに会話をし続けたのである。 姉は僕の受験の半年前に急逝した。 別に病の床にあった訳ではなく、交通事故による予期せぬ最後だった。 姉は僕より5歳上だった。 東京の短大を卒業してそのまま東京の会社に就職した。 歳が離れていたせいか姉は僕を可愛がってくれ

          実在するということ

          挑む・・・続ける

          私は、昨年70歳(古希)を迎えました。 この節目に、若い人達に伝えたい事が結構ある事に気付きました。 しかし、年寄りの説教がましいことを聞きたい人などいるはずもありません。 そこで趣味で書いていた小説、随筆をnoteに掲載しようと決断しました。 小説家のような文章力が無いのは百も承知ですが、若い人達に少しだけ人生経験の長い老人が、説教ではなく、読後に何となくほくそ笑む、清々しい気持ちになる、思わず笑顔になってしまう・・・ といった作品を掲載することによって、一人でも

          挑む・・・続ける

          天上天下唯我独尊

          創作とは自己満足と見つけたり。 生きている間に全く評価されずに没後かなりの時を経過して評価されると言う事は、ままある話のような気がする。 例えばゴッホを例に取ると分かり易いのではないだろうか。 不遇の創作活動であったことは想像に難くない。 では、何が彼を支えたのか‥ 自己を満足させると言う一点に尽きると思う。 もっと正確に表現すると、吹きこぼれるような創作意欲のままに生きたと言うことではないか。 評価されることを前提にして創作活動することも勿論あると思う。 洋

          天上天下唯我独尊

          親子

          雅子は、食事を摂らないことに決めた。 雅子は今、介護付きの老人ホームにいる。 先月の誕生日で八十八歳になった。 いわゆる、米寿である。 読んで字の如く、八十八は米という字である。 本来なら、末広がりの八が二つ並びで大変、縁起の良い歳のはずだと思うが、さにあらずである。 病を患ってしまえば高齢の為、看病する人が必要になる。 息子夫婦は共稼ぎの為に、雅子の面倒をみることは出来ない。 仕方のない事である。 夫は10年ほど前に亡くなっている。 若い人の病気のように

          十万倍速の男 完結編

          仮想現実 藤堂は時間があれば、リラックスできる音楽を聴き体感を重ねていった。 そうだ、あの時間が制止したかのような状況だ。 回数を重ねるごとに新たな発見がある。 時間のスピードをコントロール出来るようになったのである。 次に彼が体感した事は、藤堂自身も自分自身の頭がおかしくなったのではないかと思った出来事だ。 いつものように音楽を聴き、いつものように自分が時間の流れをコントロール出来る状況に入った瞬間、部屋の様子がガラリと変わつた。 どこかの会議室のようだ。

          十万倍速の男 完結編

          十万倍速の男 その4

          「そうかぁ‥ 人類が見ているのは、真実の一側面でしかないのか‥ なんか、分かったような分からない話だな‥ 教授はこんなことも言ってたなぁ‥ 『いったん、常識というものを捨て去らないと宇宙は理解出来ない‥』 常識か‥ 犬が西向きゃ尾‥‥も西てことか? いやいや、そんな事じゃないよな‥」 などと考える日が続いた。 そんな藤堂にも少しの変化があった。 心が洗われるような音楽を聴いていると別次元へ行けると言う事が分かったのだ。 だが、あの子供を救った時に音楽など

          十万倍速の男 その4

          十万倍速の男 3

          数日後、藤堂は帰国中(米国の有名大学に所属)の物理学者、野町泰紀教授と対面していた。 専門は、素粒子論、宇宙論という。 友人のつてで私の手紙を読んだ教授から、 「是非、お会いして話をうかがいたい」 旨の連絡があったのだ。 運がよかったというより奇跡のような出来事である。 藤堂は、いささか緊張しながらも、これまでの状況と自分なりの考えるところを教授に伝えた。 教授 「うーん・・・」 と言ったきり、額に手を当て、沈黙している。 「やはり信じてもらえないか・・・」

          十万倍速の男 3

          十万倍速の男 2

          十万倍速の男2 あれから3ヶ月程経過したが、藤堂の周りには何も起こらず、淡々と時は経過していった。 「あれは、いったい何だったんだろうか‥ 確かに世の中の時間が止まってしまったかのようだった・・・ まっ、その後何も無いんだから、白昼夢的なものか・・・ まさかボケの前兆なんてことは無いだろう」 日課の散歩から帰って来てコーヒーを入れ、テーブル横の椅子に腰をおろしたところである。 妻は買い物に出ている。 コーヒーを飲みながら、スマホを見る。 何かに誘導されるよう

          十万倍速の男 2

          ブラックホール

          時空の歪み ある日、浦島次郎は海辺を散歩していた。 すると前方に小さな子供たちが何かを棒で突いている。 近づいてみると丸い甲羅のようなものである。 「可哀想に小さな亀だな‥ 待てよ、楕円形じゃないぞ‥ まん丸じゃないか‥ 新種の亀かな?‥ おいおい君たち、そんなことしちゃ亀が可哀想じゃないか。 さあ、お兄ちゃんがお小遣いをあげるから何か買ってお食べ‥」 次郎はいくばくかのお金を子供たちに渡した。 「えっ、いいの? やったぁ!みんな行こうぜ」 次郎は亀

          ブラックホール