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外来種

生物の世界で外来種、在来種という表現がある。

外来種、英語では、Invasive Alien Species「侵略あるいは浸潤的外来種」と表現される。

もちろん、状況により表現の仕方は少しづつ変わるようである。

つまり、往々にして在来種を駆逐する存在として認識される。

つまり厄介者である。


時は縄文時代後期、日本列島の北部に

宇宙から飛来して来たと思われる物体が不時着した。

どうやら宇宙船の故障のようで、意図的に飛来したものではないようだ。

中からゾロゾロと鎧をまとったような地球外生命体が降りて来た。

宇宙船はかなり大きなもので、100体程の生命体が次から次へと降りて来る。

明らかに子供と思われるような小さな者までいる。

異形である。

さぞ縄文人はびっくりしたことであろう。


すぐに近辺に居住していた縄文人が集まり、野次馬のような状態で、

その異形の来訪者を取り囲んだ。

その異形の者は敵対的行動をとることもなく、話しかけてくるような素振り

を見せた。

しばらくそのようにしていると、驚いたことに縄文人の言語分析が完了した

のか、スムーズに会話が出来るようになる。


それから、3ヶ月ほどの時間が流れる。

その間、宇宙からの来訪者はいろいろな知識を縄文人に与えた。

すると、一万年も同じような生活をしてきた縄文人に劇的変化が現れる。

繰り返すが、縄文時代は一万年もの長い間続いていたのである。

現代は西暦でも僅か二千年である。

信じられないような長い期間である。

その間これといった進歩は無かったようだ。

ともあれ、そうこうして数年の時があっという間に流れる。

その間異形の者は宇宙船の中で生活をしていた。

そして、ある日宇宙からの来訪者は縄文人に宣言する。

「これまで、我々は宇宙に戻ることを考えてきたが、方針を変えることにした。

つまり、あなた方と共に生活することに決めた」

それを聞いた縄文人は歓声をあげて喜び、歓待することを約束した。

それほど、彼らの影響力が大きくなっていたのである。

その宣言の翌日、異形の者はその鎧のような物を脱ぎ正体を晒した。

縄文人は驚いたが、驚愕したわけではない。

なぜなら彼らの風体は自分達とそんなに変わらなかったからである。

縄文人のように髭もじゃで短躯ではなく、のっぺりした風貌にスラリとした体躯であった。

それ以来、来訪者と縄文人はごく自然に生活を共にし、徐々に縄文人の容姿は変化していく。

つまり弥生時代の到来である。

来訪者は圧倒的に優れた文明を有した地球外生命体であったが、援軍を呼び敵対的行動をとり縄文人を奴隷化もしくは駆逐することをしなかったのである。

同化政策をとったということである。

凄いことなのである。
なおかつ、それを受け入れた縄文人もすごい。


外来種は厄介者にならなかったということである。


そして、縄文人はその異形の人達を尊崇の意味も込めて忠実に再現して残し集会所などに祀った。

現代、それは遮光器土偶として発見されている。
言わずと知れた異形である。


急速な発展を遂げた縄文人の生活跡は、青森県の三内丸山遺跡ほか、日本列島北部に点在しているが、未だ土の中に埋もれている。

因みに、彼らが乗ってきた宇宙船も土の中に埋もれているので、三内丸山遺跡のようにふとしたことから発掘されるであろう。


現代考古学でも未だに謎に包まれている遮光土器ではあるが、何のことはない縄文人が初めて見た物(者)を忠実に再現しただけなのである。


「講釈師、見てきたような嘘をつく」

文酔人卍

尚、イメージ画像は
niho iida 氏の作品を使用させていただきました。感謝。


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