ジュラ紀
ジュラ紀
『ここはね、日本には珍しい白亜紀の地層が地表に出ている場所なんだ』
「すごーい。ねぇ教授、白亜紀って恐竜の時代ですよね。
もしかしたら、恐竜の化石とか出るんじゃないですか?」
『そうだね、運が良ければね』
「やったー」
『それなりに興味深いものは出てくると思うよ。皆も、注意深く発掘作業を開始してくれ』
「はーい」
すると、一人の老人が近付いて来て、
『おめぇ達、何やってんだ?』
「発掘調査ですけどぉ」
『恐竜け?』
「そーだよ、お爺さん、ここは白亜紀の地層なの」
『おめぇ達は、あほぅなのか?
ここは、ズラ紀の地層で、なんぼでも化石は出てくっぺ』
「ズラ…ズラキ???」
『あっ、ねぇちゃん、そこさ掘ったらダミだべ。ハナの骨が出てくっぺ』
「あの、ちょっと何言ってるか分かんかないですけどぉ」
『おらが、かってたウスのハナを、そこさ埋めたべ』
『えっ!お爺さん、ここは国指定の保護地区で、牛なんか埋葬しちゃダメですよ』
「教授、スゴーイ、何言ってるか判るんだ!」
「あのね、教授は、ここが地元なの」
『保護地区は、も少し先だべ。ここは、おらの土地だべ。
ホラ、ねぇちゃん、その手に持ってるのはハナのケツの骨だべ』
「キャー!早く言ってよ!」
『あのぉ、お爺さん、ここはジュラ紀の地層なんですか?』
「んだ」
『そうすると、恐竜の化石とかも、けっこう可能性がありますね』
「可能性?
何、言ってるだ。雨が降るたびに、ゴロゴロ出てきて困るべ。
おらのうつさ来てみるべ、恐竜さ組み立ててあるべ」
『えーっ!?』
5分ほど歩いた所に、大きな農家がある。
畜産農家なのか、桁外れに大きな畜舎が見える。
『いったい、何十頭くらいの牛を飼ってらっしゃるんですか?』
「ウスは、ハナがすんでからは、一頭もいねぇだ」
老人は、スタスタと畜舎の前に行くと、ポケットから何か取り出し、そのリモコンのような物のボタンを押す。
なんと、巨大な畜舎のシャッターが電動で巻き上げられていくではないか。
完全に巻き上げられたが中は暗くてよく見えない。
すると老人は、再びリモコンのボタンを押す。
眩いばかりのスボットライトが点灯する。
すると・・・
高さ20メートル、幅30メートル、奥行50メートルはあろうかと云う空間に、高さ10メートル前後、体長10~30メートルの恐竜の骨格が組み上げられている。
しかも、完全体で10数頭である。
教授、生徒・・・
『そんな、あほな・・・』