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マスコミ その2

マスコミ その2
 
なぜ、こんなことになってしまったんだ・・・

佐橋はT大を卒業後、A新聞に入社した。
はなから民間の一般的企業に行くことは考えていなかった。
これは、一部の旧帝大卒のエリートに共通した潜在意識であるが、我々は選ばれた者であり、商人如きの走狗になどなれるか・・・と云ったものであろうか。
民間の企業など、最終的に行く場所が無くなった時に仕方なく降ってやる所である。
事実、現実はその通りである。 ましてや国家の犬、官僚になるなどは論外であった。
馬鹿な国民を我々選ばれし者が先導してゆかねばならないと言った感覚であった。
佐橋は、ご多分に漏れず、麻疹にかかるように、学生運動に参加した。
しかし、就職活動時期になると、すぱっと足を洗い、(権力というものは、必ず腐敗し商人と癒着する。私は、それを糾弾し国民の為に働きたい)と鼻じらむようなことを、堂々とのたまい、A新聞の面接官を狂喜させた。

入社後は、大過なく無く過ごしていたが、ふとしたはずみで、筋の良くない女に引っかかり難儀したが、ある左派系政治家の紹介で、中園を紹介された。
驚いたことに彼は短い間にきれいさっぱり片をつけてくれた。
当時、彼は若くして弁護士事務所を開設しており、筋の通った正義漢であった。
少なくともそう見えた。
が、そうではなかった。
今では、歴としたC国共〇党の最高級幹部である。つまり、筋金入りのスパイだったのだ。
その後も、どのようにして入手するのか、驚くようなスクープネタを定期的に提供してくれた。
おかげで、佐橋は社内で若手の風雲児としてもてはやされ、上層部の覚えめでたく、出世を重ねた。

ある時、スクープの褒美と1週間の休暇を与えられた。
待っていたかのように、中園からC国旅行の話があり、全て手配するので心配無用と連絡があった。
単なる偶然だろうか?と多少訝ったが、あまり気にせず話に乗った。

至れり尽くせりのC国旅行であったが、中園は金を受け取らなかった。
豪華なホテルに宿泊し、豪華な食事、就寝前には、毎晩違う女性が部屋を訪れてきた。
これは、自分のような選ばれた人間の特権なんだと自分に言い聞かせた。

今にして思えば、すべて仕組まれていた事であった。
このような事が、1〜2年に一度繰り返され、感覚的に完全に麻痺することになる。
気づいた時には、完全な共〇党員である。
受け取った金も何億になるのか見当もつかない。自分の懐に入るだけで無く、あちこちにばら撒くよう指示されるからである。
その時は、考えもしなかったが、社の先輩、マスコミ業界のエリートと呼ばれる人間の多くが、自分と同じ道を辿っていたのだ。
佐橋も、老いを迎え、やがて子供、孫が日本を背負うことになるが、想像するだけで身の毛がよだつ。

『俺の人生はいったい何だったのか』
近い将来、日本は三流の左派国家になるであろう。 まともなマスメディアであれば、政府の暴走を止める重要なブレーキとしての役割を担うが、今はどうであろうか。
新〇社通信、人〇日報の日本支社、ハン〇レ新聞、朝〇日報の日本支社ではないか。 ひたすら報道方針は、徹底的に反政府、国民の不安を煽ることに終始し、最終的に保守政権は駄目だという印象操作。
おろかな国民に我々選ばれた者が、啓蒙し、先導してやらねばならないと・・・ テレビ局に至っては、ものの見事にほとんどすべてのチャンネルを回しても金太郎飴のように同じ内容である。
コロナ報道などは、その最たるものであろう。悪いのはコロナではなく政府である。
という印象操作に全力を投ずる 。
本国(C国共〇党)の意向を如何に報道に反映させるか、それだけが命題だった。
恐るべきC国共〇党の画策である。

そうしてきたのは、他ならぬ、金とハニートラップでがんじがらめにされた佐橋自身ではなかったか。
 
つづく

※この作品は数年前のものです。勿論、全てフィクション。
 
 

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