わが青春想い出の記 40 忘れ得ぬ人 その3
自分は一人になりたくて佐々岡の家を出たものの、どこと当てもなく、フラフラと歩いていた。そしてふと自分に返り、辺りを見渡すとそこは洋子と2人でよく来た思い出のある砂浜であった。2人はここに来て時間の経つのも忘れ、将来のことを語り合った場所である。しかし今は・・・・・?、その洋子がいない。淋しい、とても淋しい。
小さな愛の想い出
暮れゆく浜辺に 身を沈め
じいっと聞いている 砂のささやき
遠くよりしのびよる 夜のとばりの中で
あなたの来るのを 待っていたのに まっていたのに
夜が更け 水が枯れ 海の砂が消えようとも
私はあなたを 愛しつづけていたのに
もしも水の上を歩くことが出来
あなたのところへ行けるなら
息切れるまで走って行き
抱かれていたいと 思ったように
ちょうどいま 岸の向こうに灯った小さな明かりが
私とあなたの 小さな小さな 愛の想い出