統計検定1級合格体験記
分析屋の町田です。
私は3年前(2022年11月)に統計検定1級に合格しました。今回の記事では、当時の内容を振り返り、受験のきっかけや勉強方法、試験当日の様子などをご紹介します。皆さんの勉強のモチベーションになれば幸いです。
1. 導入:統計検定1級に挑戦したきっかけ
もともと数学に興味があり、学生時代から統計学を独学で勉強していました。しかし自分の統計学の理解度を測りたいという思いと、さらなる高みを目指したいという目標が生まれたため、統計検定1級の受験を決意しました。正直、最初は「本当に合格できるのだろうか?」という不安もありましたが、統計学への情熱と、自分自身の成長への期待が、私を突き動かしました。
2. 学習期間
2.1. 具体的な学習期間
統計検定受験の1ヵ月前に応用情報技術者試験を受けていたため、対策期間はわずか1ヵ月しかありませんでした。また仕事と並行しての学習だったため、効率的に時間を使う必要がありました。そのため、平日の業後や休日を活用して短期集中的に勉強に取り組みました。
2.2. 1日の学習時間
勉強時間ですが、平日は業務終了後に3~4時間、休日は10~12時間程度で、合計で150時間ほど勉強していたと思います。
2.3. 学習スケジュール
学習スケジュールは、大きく分けて3つのフェーズで構成しました。
フェーズ1(最初の2日):イメージづくり - サンプル問題や過去問を少しだけ解き、本番試験のイメージと大まかな傾向を把握しました。
フェーズ2(次の3週間):基礎固め - 統計学の教科書を読み込み、基礎理論の理解を徹底しました。
フェーズ3(最後の1週間):総仕上げ - 過去問を繰り返し解き、時間配分の練習や苦手分野の最終確認を行いました。
また、重要な公式や理論、計算式はノートに一問一答形式でまとめておき、後で復習しやすいように整理しながら学習を効率的に進めました。
3. 使用教材
3.1. 参考書
私が使用した主な教材は以下の通りです。
日本統計学会公式認定 統計検定1級対応 統計学: 日本統計学会が出している教科書で、統計検定1級の学習には必須の教材です。様々な理論や公式が体系的にまとまっており、演習問題もついているので非常に理解しやすいです。現在では増補版が発行されているようなので、そちらを購入することをお勧めします。
現代数理統計学の基礎(共立出版): 統計検定1級の内容と被る部分が多く、理解を深めるうえで1冊持っておきたい参考書です。数式展開も丁寧に書かれており、じっくりと理解を深めることができました。ただし、初学者には少し難易度が高いかもしれません。
3.2. 問題集
日本統計学会公式認定 統計検定1級 公式問題集: 過去問が掲載されており、試験の傾向を掴むのに必須の教材です。解説も充実しており、理解を深めるのに役立ちました。
これらの教材を組み合わせて学習することで、理論と実践の両面から統計学を学ぶことができました。特に、公式問題集は試験対策に必須です。
4. 具体的な勉強法
4.1. 各分野の勉強方法
統計検定1級の試験範囲は非常に広く、確率論、推定、検定、回帰分析、分散分析、多変量解析、時系列解析など、多岐にわたります。私は、各分野を以下の方法で学習しました。
確率論: 確率の定義、確率変数、確率分布、期待値、分散などの基本的な概念を理解することから始めました。教科書を読み込み、例題を解くことで、基礎を固めました。
推定・検定: 最尤推定、区間推定、仮説検定などの基本的な考え方を理解し、様々な検定手法を学びました。公式問題集を解くことで、実践的な問題解決能力を養いました。
回帰分析・分散分析: 線形回帰モデル、重回帰モデル、分散分析の原理を理解し、モデルの解釈や診断方法を学びました。実データを用いた演習問題に取り組むことで、理解を深めました。
多変量解析: 主成分分析、因子分析、クラスター分析などの手法を学びました。それぞれの方法の目的や適用場面を理解し、実際にデータ分析を行うことで、実践的なスキルを身につけました。
時系列解析: 自己回帰モデル、移動平均モデルなどの基本的なモデルを理解し、時系列データの分析方法を学びました。
4.2. 過去問の活用方法
演習に関しては、2年分の過去問を3回以上繰り返し解きました。最初は時間を気にせずに解き、理解度を確認しました。2回目以降は、本番と同じ時間配分で解き、時間内に解き切る練習をしました。間違えた問題は、解説を読み込み、なぜ間違えたのかを徹底的に分析しました。また、過去問を解くことで、試験の傾向や出題パターンを把握することができました。
私は特に、確率論が苦手でした。一番の基礎分野ですが、統計検定ではかなり捻った問題が出題されることが多く、問題整理と柔軟な発想力が問われることが多かったからです。そのため、確率論に関しては特に過去問を深く読み込み、どうすればその解法にたどり着けるのか、ゆっくりと思考プロセスを紐解いていくことで、より深く理解することが出来ました。
5. 試験当日
5.1. 試験会場の雰囲気
試験会場は自宅から遠く離れた場所だったため、片道2時間かけて会場に向かいました。電車の中で、勉強中に作成したノートを読みながら、最後の振り返りを行いました。試験会場は思ったよりも広く、多くの受験者がいたのを覚えています。
5.2. 時間配分
試験は大問を自分でいくつか選択する形式のため、まずは全体を大まかに確認して、自分が確実に解けそうな問題から順に取り組みました。試験時間は長いですが、途中の問題で泥沼にハマると時間を取られるので要注意です(自分も確率論の問題で泥沼にハマりかけました)。
6. 合格後
統計検定1級に合格したことで、自分の統計学の知識とスキルに自信を持つことができました。また、統計学の奥深さと面白さを改めて実感し、さらに学びを深めたいという意欲が湧いてきました。
合格後は分析屋に転職し、主にAIや機械学習に関わる仕事に携わっています。統計検定1級の受験で得た柔軟な発想力と問題解決力は、業務でも大いに役立っています。これからは、その強みを活かして更なるキャリアアップを目指していきたいと考えています。
7. まとめ:統計検定1級を目指す人へのメッセージ
統計検定1級は、決して簡単な試験ではありません。しかし、しっかりと準備をすれば、必ず合格できる試験です。
これから統計検定1級を目指す皆さんへ、私から3つのメッセージを送ります。
目標を明確に持つこと: なぜ統計検定1級に挑戦するのか、合格したら何をしたいのか、目標を明確にすることで、モチベーションを維持することができます。
計画的に学習すること: 長期的な学習計画を立て、毎日コツコツと勉強を続けることが大切です。
諦めないこと: 勉強を続けていると、壁にぶつかることもあるでしょう。しかし、そこで諦めずに、努力を続ければ、必ず道は開けます。
統計検定1級は、挑戦しがいのある試験です。皆さんの挑戦を心から応援しています。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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