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医療費分析をしたときの話

分析屋の藤島です。
レセプトデータ、検診データ、適用台帳データを用いて医療費分析を案件でやったことがあり、そのときの話をしたいと思います。


1.医療費分析の目的

みなさん、データヘルス計画についてご存じでしょうか。

データヘルス計画とは、日本の医療制度における国民の健康寿命延伸や医療費適正化を目的とした取り組みで、健康保険者(健康保険組合や国民健康保険等)が持つ保険者データやレセプト(診療報酬明細書)データ、健診データを活用し、予防・健康管理を推進することを目指しています。

医療費分析はレセプトデータ等を活用して医療費の現状や疾病状況等を把握し、その原因を分析することで、分析結果を用いてデータヘルス計画を考えるために活用することを目的としてます。

2.データマートについて

データマート作成時に大きく分けて4つのデータを活用して作成しました。

  • レセプトデータ

    • 医科レセプト(入院)

    • 医科レセプト(入院外)

    • DPCレセプト

    • 歯科レセプト

    • 調剤レセプト

    • 訪問看護レセプト

  • 特定健診データ

  • 適用台帳データ

  • 各種マスタ

    • 傷病名マスタ

    • 医薬品マスタ

    • 疾病分類表

    • 薬効分類表

レセプトデータは細かく分けると全部で6種類ありますが、医科レセプトだけでみても実は3種類(医科レセプト、DPCレセプト)があります。

医科レセプトは請求点数を算出してその値を10倍し、保険適用の場合はその3割を請求するようなレセプトで馴染みある方も多いと思います。
一方でDPCレセプトは主に急性期病院に導入されており、疾病と診療行為に基づき1日あたりの医療費と診療日数を掛け算して医療費を算出するレセプトになります。

適用台帳データは保険組合加入者の情報のことで、個人名や家族構成など個人情報が記載されているデータになるため、取り扱いには十分注意しないといけません。

特定健診データには40歳〜74歳までを対象とした特定健診の結果が記されています。

レセプトにある傷病名や医薬品の情報はコードで記載されており、特定するためには傷病名マスタや医薬品マスタを活用する必要があります。
傷病名や医薬品をあるグループ単位で分類したい場合には疾病分類表や薬効分類表を活用する必要があります。

3.集計について

要約統計量が理解できていれば対応可能でしたが、一部抽出条件が厄介だったり、初めて聞く集計項目などあり、それらを理解することが求められました。
集計項目について、例えば以下の項目がありました。(他にもたくさんありますが、医療費分析を行う上で基本となる項目をピックアップしてみました。)

  • 受診者数

  • 構成員数

  • レセプト件数

  • 診療実日数

  • 医療費

  • 薬剤費

受診者数と構成員数はそれぞれ病院へ診療行為を受けた人数、保険組合加入者数となります。

受診者数はそんなに難しくないのですが、構成員数が資格要件が存在するため、年や月単位で集計するとなると、資格要件を理解することが求められます。
レセプト件数について、受診者数 = レセプト件数でいいのでは?と思ってしまう方もいるかもしれませんが、そうではありません。
患者1人につき1つの医療機関で毎月1枚発行された場合、レセプト件数は1件とカウントされます。

例えばある月に患者AさんがB病院に4回行ったとしても、B病院で発行されるレセプト枚数は1枚となるため、レセプト件数は1件となります。

一方である月に患者AさんがB病院に4回、C薬局に4回行った場合にはB病院で発行されるレセプト枚数は1枚、C薬局で発行されるレセプト枚数は1枚となるため、患者Aさんのレセプト件数は合計で2件となります。
興味ある方は以下のURLを確認してみてください。

https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2010/13813/20100415_3sankou4-1_1.pdf

診療実日数、医療費、薬剤費は言葉の通りで、医療費制度や算出方法などを理解した上で算出することは当然求められますが、データマートに持たせておくと集計は楽でした。

4.身についたこと

個人的に医療費分析で身についたと感じることは以下の通りです。

  • ドメイン知識

  • Pythonによるプログラミング

  • 仕様書作成※

医療費制度を理解することでレセプトデータの中身を理解することもでき、マスタについても更新されるタイミングなど含めてドメイン知識は十分身につけられたと感じてます。

案件ではPythonを使用しましたが、高度なプログラミングを求められたわけではなく、よくデータサイエンスで用いられるライブラリ(numpy、pandas、datatable)と関数、条件、for文が理解できていれば対応可能でした。

仕様書作成について、先輩方のサポートをいただきながら作成したため、1人で作成できるかと言われると怪しいです。
目的から考えて必要な変数やデータの持たせ方などを今後考えられるようになりたいと考えてます。

5.最後に

医療費分析の案件はドメイン知識全くの0でスタートしてかなり大変でしたが、今振り返ると身についたことも多いかなと感じてます。

医療は社会貢献度が他の業界と比べると高いと感じているため、医療系の案件には今後もチャンスがあるなら、どんどん取り組んでいきたいと思います。



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