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旅打ちのマサ① 2022高知競輪
最終レースで大量落車があり、救急車のサイレンを聞きながら雨のオケラ街道をトボトボ歩いた3年前の9月。道すがらにかかってきた電話の内容は、自業自得とはいえ、マサの心に今でも沁みる、人生の「一つの区切り」をつけるものだった。
その時以来の高知500バンク。乾ききったはずの「心のかさぶた」が少しはがれるような感覚になりながらも路面電車に乗り「日本三大がっかり」の1つ?はりまや橋で乗り換え「グランド通駅」に降り立った。
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バンクの内側にある陸上トラックに寄せて名付けられているはずなのに、なぜ「グラウンド」ではなく「グランド」なのか?
それはさておき、駅から徒歩10分ほどのところにある競輪場は朝イチだったこともあり閑散としたもので特観席もガラガラ。ゴールラインを目の前にした最上段に席に陣取り勝負を始めたものの、、、
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いつものようにスジ違いで高配当を狙うマサ。
しかしこの日はライン決着も多く、500バンクなのに逃げ切り、番手絶好もハコ3とか「高知らしい」結果が続き、まったく当たらず大苦戦。
それでもなんとか8Rで「いつも仕掛けの遅い坂本を頭に別線前残りへのスジ違い車券」で取れてようやく昼食にありつけることになった。
ただ、過去には何か所もあったであろう食堂もわずか1か所のみ。ご当地ならではのグルメはなく、カレーやラーメンといった定番モノのみの寂しいメニューだった。
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ネット投票全盛の今、本場でのサービスが最低限のものになりつつあり「旅打ち」の楽しみが減っていることを実感してしまう。
その後も車券は芳しくない状況が続く中、いつものようにレースの合間に行き当たりばったりで今夜の宿をスマホで探し始めると、なぜかどこも予約で一杯。わずかに残っていたのは素泊まり1万6千円もする駅前旅館と6万円以上するホテルのスイートルームのみ。
やはり高知は相性が悪いのか。
とはいえ、野宿するわけにもいかず翌日以降は数千円で泊まれるという表記が並ぶ駅前旅館を予約せざるを得なかった。
最終レースも外して3年前と同じようにオケラ街道をトボトボ歩き、たどり着いた駅前「高級」旅館。通された部屋は二間続きの大きな部屋で、なぜか布団が3組。事前にクレジット払いを済ませていたマサに、女将さんは「高い料金で泊まってくださって」と恐縮していた。
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日も暮れて、郷土料理を宿の近くの店に食べに行こうと部屋を出たとき、先ほどの女将さんが「この料金で素泊まりでは申し訳ないので夕食をご用意させていただきました」と。土佐名物のカツオのたたきに赤牛の焼肉などが並ぶ座敷に案内された。
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ビールも1本付けてもらい、高い宿代の十分元をとれる料理の数々を堪能させてもらったマサ。
その後、1人にしては広すぎる部屋に戻り、近くのコンビニで買い込んだいつもの黒霧で「かさぶた」にアルコール消毒をして眠りについた。