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自動車整備士で起業はやめとけ?需要・将来性をデータとイラストで可視化してみた【市場分析】

どもー。
分析太郎です。

今回は自動車整備士の
市場分析レポート
です。

仕事の将来性を把握する上で
市場分析は必要不可欠です。

起業するにせよ転職するにせよ、
将来性を把握しておかないと、
キャリア選択で痛い目を見ます。

なので分析太郎が、
データとイラストを駆使して、
将来性を分析しました。

それでは、見ていきましょう。




自動車整備士の将来性


まずは需給バランスを理解する

前編では、自動車整備士業界の
将来性を確認していきましょう。
その前に、需給バランスについて説明します。

世の中には様々な市場があり、
その中でお金が取引されています。

そして市場の中には、
供給(事業者)需要(お客様)
存在します。

これらを釣りで例えるなら、
市場=釣り堀
供給=釣り人
需要=狙っている魚
と言えます。


そして、需要と供給にはバランスがあります。
イラストにするとこんな感じです。


本レポートでは、
自動車整備士市場が4つのうち
どこに分類されるかを、
行政機関と業界団体のデータを
フル活用して考察していきます。

それでは、本題に話を移しましょう。


自動車整備士市場の供給の推移

それでは、自動車整備士市場の
需給バランスを確認しましょう。
まずは供給から確認します。

供給に関しては
・事業場数
・自動車整備士数

の2点について見ていきます。

まずは事業場数から。
一般社団法人 日本自動車整備士
振興会連合会の調査によれば、
2023年の自動車整備事業場は
91,489事業場、推移は横ばいでした。

グラフを作成しました。


自動車整備事業場数の推移(2004~2023・19年間)
出典①:H22 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典②:H23 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典③:H24 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典④:H25 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑤:H26 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑥:H27 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑦:H28 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑧:H29 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑨:H30 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑩:H31 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑪:R2 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典 ⑫:R3 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑬:R4 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑭:R5 自動車分解整備業実態調査結果の概要について


おおよそ9万事業場あたりで
推移しているようです。
あまり変化は見られないっすね。

では、整備士数はどう推移
しているでしょうか
グラフを作成しました。


自動車整備士数の推移(2009~2023・14年間)
出典①:H22 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典②:H23 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典③:H24 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典④:H25 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑤:H26 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑥:H27 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑦:H28 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑧:H29 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑨:H30 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑩:H31 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑪:R2 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典 ⑫:R3 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑬:R4 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑭:R5 自動車分解整備業実態調査結果の概要について


一方の整備士数は
過去14年間で最多だった2011年から
16,021人減少し、2023年は331,255人
でした。

徐々に減少していますね。
自動車整備士試験の
受験者数も減少傾向に
ありました。

グラフを作成しました。


自動車整備士資格の受験者数の推移(2011~2023・12年間)
※人数は各年第一回・第二回の全試験科目の受験者数の合計

出典①:H23 第一回学科試験結果 第二回学科試験結果
出典②:H24 第一回学科試験結果 第二回学科試験結果
出典③:H25 第一回学科試験結果 第二回学科試験結果
出典④:H26 第一回学科試験結果 第二回学科試験結果
出典⑤:H27 第一回学科試験結果 第二回学科試験結果
出典⑥:H28 第一回学科試験結果 第二回学科試験結果
出典⑦:H29 第一回学科試験結果 第二回学科試験結果
出典⑧:H30 第一回学科試験結果 第二回学科試験結果
出典⑨:H31 第一回学科試験結果 第二回学科試験結果
出典⑩:R2 第一回学科試験結果 第二回学科試験結果
出典⑪:R3 第一回学科試験結果 第二回学科試験結果
出典 ⑫:R4 第一回学科試験結果 第二回学科試験結果
出典⑬:R5 第一回学科試験結果 第二回学科試験結果


これらの影響により、
整備士の平均年齢も
どんどん上昇しています。

グラフを作成しました。


自動車整備士の平均年齢の推移(2009~2023・14年間)
出典①:H22 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典②:H23 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典③:H24 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典④:H25 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑤:H26 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑥:H27 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑦:H28 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑧:H29 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑨:H30 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑩:H31 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑪:R2 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典 ⑫:R3 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑬:R4 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑭:R5 自動車分解整備業実態調査結果の概要について


この推移を見る限り、

・急激な業務効率化が進む
・外国人労働者を大量に採用する
・なぜか急に整備士人気が爆発する

上記のような状況でない限り、
自動車整備士市場の供給量は
減少することはあっても
増加することはない

考えるのが自然だと思われます。

従って現時点では、
先ほどの四分類では
このどちらかに分類されるのでは
ないでしょうか。



では、需要はどう
推移しているでしょうか。
確認していきましょう。


自動車整備市場の需要の推移

それでは、
自動車整備市場の需要が
どう推移しているか
確認していきましょう。

まずは、
そもそも自動車整備というビジネスの
市場規模が拡大しているか
どうか
確認しましょう。

グラフを作成しました。


自動車整備市場における総整備売上高の推移(2005~2023・18年間)
出典①:H22 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典②:H23 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典③:H24 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典④:H25 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑤:H26 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑥:H27 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑦:H28 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑧:H29 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑨:H30 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑩:H31 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑪:R2 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典 ⑫:R3 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑬:R4 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑭:R5 自動車分解整備業実態調査結果の概要について


おー。
自動車整備士市場の市場規模は
2012~2023(11年間)で
11.7%(6,180億円)成長し、
2023年は5.9兆円でした。

もともと2006年時点で
6兆円の規模があったので、
同じ水準に戻っただけとも言えますが、
いずれにしても回復しているのは事実です。

では、なぜ回復しているのか
深掘りしてみましょう。

まず単純に思いつくのは、
市場に自動車が増えているから
という理由ではないでしょうか。

本当にそうか確認してみます。

国土交通省の
『自動車保有車両数統計』から
約50年分の保有自動車台数の推移が
どうなってるか見てみましょう。

グラフを作成しました。


自動車保有台数の推移(1976~2024・48年間)
出典:自動車保有車両数統計(国土交通省)


ふむふむ。
確かに、自動車の保有台数は
増加傾向にあります。

しかしながら、
市場規模の伸び幅に対して、
保有自動車数は伸びが少ない気がします。

2012~2023の
各項の伸び幅を表にしました。


整備士市場の市場規模と保有自動車数の2012年と2023年の比較
出典①:H24 自動車特定整備業実態調査結果の概要について
出典②:自動車保有車両数統計(国土交通省)


2012~2023の伸び幅は、
市場規模は11.5%に対して、
保有自動車数は4.2%でした。

つまり、
市場規模を押し上げている要因は
他にもあると考えられます。

では、他にどんな原因が
考えられるでしょうか。

率直に思いつく次の原因は、
客単価が上がったからでしょうか。
本当にそうか確認してみましょう。

家計調査(総務省)では、
自動車整備費用の平均値を
毎年発表しています。

そのデータをグラフにしました。


二人以上世帯の年平均・自動車整備費用の推移(2000~2023・23年間)
出典:家計調査(総務省)


あ!
やっぱりこっちが
上がってましたね。

市場規模の押し上げ要因は
「客単価が上がったから」が、
正しい分析だと言えるでしょう。

では、なぜ自動車整備費用の
単価が上昇しているのでしょうか。

調べたところ、どうやら自動車にも
「高齢化」の波が押し寄せているようです。

平均車齢の推移をグラフにしました。


乗用車・貨物車・乗合車の平均車齢の推移(1979~2021・42年間)
※貨物車:トラック・バンなど
※乗合車:バス・タクシーなど
出典:平均車齢(一般社団法人 自動車検査登録情報協会)


高齢者が増えると病院の需要が増すように、
自動車の場合でも、「高齢車」が増えると
整備の需要が増す
ことは容易に想像されます。

新品の若い車よりも、
乗り倒した車の方が、
当然整備費用も高くなるでしょうね。

その他に考えられる理由としては、
整備士の年収が上がってるからという
理由もあるかもしれません。

整備士業界の転職求人サイト大手
「カーワク」の情報によれば、
整備士は年功序列的な給与体系に
なりやすい
と記載がありました。

下記引用です。


『自動車整備という職業は技術職である以上、賃金や待遇は本人の技術力と経験値に比例します。そのため、ほかの職種に比べ年功序列の評価になりやすい〜』

自動車整備士とは?様々な角度から徹底解説(カーワク 2023.9.25)


冒頭で整備士の平均年齢が
上昇傾向だと記載しましたが、
それと比例するように、
整備士の平均給与も上昇傾向でした。

グラフを作成しました。


自動車整備士の平均給与の推移(2009~2023・14年間)
出典①:H22 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典②:H23 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典③:H24 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典④:H25 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑤:H26 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑥:H27 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑦:H28 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑧:H29 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑨:H30 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑩:H31 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑪:R2 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典 ⑫:R3 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑬:R4 自動車分解整備業実態調査結果の概要について
出典⑭:R5 自動車分解整備業実態調査結果の概要について


つまり、
高くなり続ける給与を
整備士に支払い続けるためにも、
事業者は価格を上げる必要がある

考えられます。

あとはコロナ渦以降であれば、
物価の上昇も上昇要因ですかね。
下記記事では、補修部品の価格高騰が
整備費用の上昇に影響を与えていると
説明しています。



ざっとまとめると、
下記が市場規模押し上げに
寄与していると説明しました。

①高齢車の増加
②整備士給与の増加
③整備備品の価格上昇

②と③は
コストプッシュインフレ的な
要因のような気がしますね。
つまり潜在的な需要の増加を意味しない、
コスト増による数字上の増加要因
です。

注目すべきは、
①高齢車の増加です。
今後も間違いなく続くので、
整備を必要とする自動車は
さらに増加すると考えられます。

データが出揃いましたね。
それでは、結論に入ろうと思います。


分析太郎の結論

まとめると、
自動車整備士市場の
需給バランスはこうです。

【供給】
自動車整備事業場は横ばいで推移しているが、人口減少の煽りを受けて、自動車整備士数が減少傾向にある。急激な業務効率化、外国人労働者を大量に採用など急な変化が起きない限り、供給量は減少傾向にあると言える。
 
需要】
市場規模は増加傾向にあり、保有自動車数は毎年増加しつつあり、それに加えて自動車の高齢化が進んでいることから、今後の整備需要はさらに増すと考えらえる。

結論を出しますね。
需給バランス四分類で言えば、
ここに当てはまりつつあるのでは
ないでしょうか。


分析太郎の結論


いかがでしたでしょうか。
今回は、自動車整備士業界の
市場分析を行いました。
ただ、これは日本全体の需給バランスであり、
当然ですが地域によって偏りが生まれます。

従って、
日本全体だけでなく、
さらにお住まいの地域についても
詳しく分析する必要があります。

そこで後編からは、
自動車整備士市場のレッドオーシャン・
ブルーオーシャンな都道府県

特定していきます。


都道府県ごとの自動車整備場の希少価値を算出しました
あなたのお住まいの地域はいかがでしょうか
地域ごとの自動車整備費用を調査しました
お住まいの地域はいかがでしょうか
とある都道府県だけ、自動車整備場の希少価値でした
あなたがお住まいの地域かもしれません
都道府県別のブルーオーシャン・レッドオーシャンを特定しました


【※】
この資料の続きのみ
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