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【少しネタバレあり】悪は存在するし、裁かれもする『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』【映画レビュー】

★★★☆☆
鑑賞日:10月14日
劇 場:109シネマズ名古屋 シアター7 IMAX
監 督:トッド・フィリップス
出 演:ホアキン・フェニックス、レディー・ガガ


『ジョーカー』2作目。

ベネチア国際映画祭で初披露されたが賛否は真っ二つ、その後、北米で公開され否定的評価の方が目立ち、中にはヒステリックな酷評も。

と、若干テンションが下がった心持ちで見たが・・・




いや、まったく悪くない。

もっと観客の神経を逆撫でするような、めちゃくちゃな内容を想像していたが意外にも真っ当だ。

ストーリーは前作からの正当な続編。
5人(6人だと本人は自白する)を殺害した罪により、主人公アーサーは当然のように収監されている。

刑務所と法廷の2つがメインの舞台となる。
そこに、事前情報の通りミュージカル要素が食い込んでくる。

本作はミュージカル映画という触れ込みであったが、純粋なミュージカルというよりは、歌唱とショーアップされたシーンが多めにあるといった感じだ。


レディー・ガガ扮するリーとお馴染みジョーカー


何が不評を買ったのかと考えると、思わず胸がすくようなジョーカーが暴虐を働くシーンがないからだろうか。

本作は、惨めな中年男性がファンタジーを手放した末に、現実に打ちのめされる映画。

アーサーは、自分はもはやジョーカーではないと告白し信者を失望させ、裁判では有罪となり、最愛の女性リーにも見捨てられ、最後はあのような結末となってしまう。

ジョーカーに期待するのは、こんなものではないと思われても仕方がない。トッド・フィリップスは期待されるものに背を向け、前作を本気で勘違いして熱狂したファンに冷や水を浴びせるような思いがあったのかもしれない。

前作を超えたかと言われると決してそうでもないし、そこを狙った作品でもないだろう。
あと、ヒース・レジャーが演じたジョーカーこそ至高、といった意見もいまだに結構あったりするが、そもそも作品の前提が違い過ぎるのでホアキン版はそれはそれで良いと思う。

とは言え、ホアキン・フェニックスも今作では相当意見を言って現場で脚本を書き換えさせたとの報道もあるし、『ナポレオン』でもリドリー・スコット御大に対して同じことをやっていたらしいし、最近ではトッド・ヘインズの新作をドタキャンするなどトラブルメーカーなのは相変わらず。


いずれにせよ、評判や外的要因を気にせず自分の目で確かめるのが早いし、一見の価値は間違えなくあると思う。


『THE PENGUINーザ・ペンギンー』、これから見始めます。

(text by President TRM)



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