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『ジョン・レノン 失われた週末』【映画レビュー】

★★★★☆
鑑賞日:5月18日
劇場: MOVIX三好
監督:イブ・ブランドスタイン
   リチャード・カウフマン
   スチュアート・サミュエルズ
出演: メイ・パン
    ジョン・レノン
    ジュリアン・レノン
  
ヨーコ公認の愛人、メイ・パンの視点で描かれるジョンとメイの短くも濃密な18か月間の愛の回想録

メイ・フン・イー・パン(May Fung Yee Pang、1950年10月24日 - )は、アメリカ合衆国の元音楽エグゼクティブ。ジョン・レノンとオノ・ヨーコの個人秘書、プロダクション・コーディネーターとして働いた。1973年、レノンとヨーコは倦怠期に陥り、パンとレノンは18ヶ月以上の間愛人関係にあった。この時期は後にレノンの「失われた週末」と呼ばれる。(Wikipedia)

ヨーコが作り上げた「愛と平和の伝道師たるジョン・レノン」とは
違うジョンがそこには居た。

あくまでメイ・パンからの一方向で 
そのときのヨーコの心のうちはわからない。
ジョンがいなくなった今となっては 
ラブストーリーの真実については知る由もないが
この時期のメイ・パンの献身的なサポートが
音楽活動の後押しとなっていたのは事実であろう。

名だたるアーティスト達とのセッション、元妻シンシアと息子ジュリアンとの再会、ポールとの和解。 
これらを成し得たのはメイと居たからだ。
ヨーコとでは起こらなかった メイ・パンの功績だろう。

ジョンとポールのラストショット

別れのエピソードは切ないが、
描かれていない 凶弾に倒れるまでの5年間があり 
その間にショーンが生まれているのもまた事実。

貴重な映像の数々、至極プライベートな写真、メイに贈ったジョンのイラスト等々 編集も含め 初見のものが多く楽しめた。

幼きジュリアンとジョン、メイ、シンシアが並んで写るいい写真

死して神格化されたジョンの、そうではない生身の(だらしない)ジョンの一端を観ることができたのは嬉しかった。
実に楽しそうでありジョンにとって
とても大事で大切な18か月間であったのではないか。

現在のメイ・パンとジュリアンの関係にほっこり。

ただ1点、権利の問題であろうか 劇中のジョンの曲が中途半端で 
残念であった。
 
ジョンが生きている時間軸が存在するとするならば…
『イエスタディ』(2019米・ダニー・ボイル監督)のラストを思い出した。
 
 

余談だが
オノ・ヨーコの作品に「忘れなさい」がある。

痛みが静かに全身を貫く。泣き叫ぶような痛みではなく、
ただこらえるしかない痛み。
なのに、タイトルは〈忘れなさい〉である。自分の痛みなど無視しろ、ということか。痛みをのりこえて次に向かって行け、ということか。     

宮地尚子 朝日新聞寄稿
1本の針が直立しているだけのブロンズ像「Forget it」国立国際美術館(大阪)


1988年の作品(最初のバージョンは1966年)だ。

メイ・パンは1989年にプロデューサーのトニー・ヴィスコンティと結婚している。(のち2000年に離婚)

ヨーコからのメッセージ… というのは勘繰りすぎか。



                     (text by 電気羊は夢を見た)



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