サーガの新たなる一篇『MM:フュリオサ』とマックスシリーズ振返り
★★★★☆
鑑賞日:6月2日
劇場: MOVIX三好
監督:ジョージ・ミラー
出演:アニャ・テイラ―=ジョイ
『マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015)』の前日譚であり シタデルの大隊長 女戦士フュリオサ・ジャバサの若き日を描くスピンオフ映画。
「怒りのデス・ロード」が最高すぎたため 今作に対する期待度爆上がりなまま鑑賞した。
思えば「怒りのデス・ロード」の公開前も、
「マッドマックス」シリーズをリアルタイムでドはまりしていたた身としては、“メル・ギブソンじゃないの?” “いまさら何故にマッドマックス?”
“70代のミラー監督で大丈夫か”と不安ばかりであったが、
観始めてすぐに没入 観てる間中ずっと心臓バクバクしていた。
“やってくれたぜミラー監督!疑ってごめんなさい” であった。
そんな「怒りのデス・ロード」を超えるのは、生半可じゃ無理だろうと不安もあったが、超えてくれるという期待の方が大きかった。
その結果は…残念ながらあの衝撃を超えてはこなかった。
ただそれはあの最高峰のイカレたアクション映画に対してであって、
今作はそもそも「怒りのデス・ロード」とは土俵が違っていたのだ。
あちらは、台詞は少なく、画だけですべてを納得させるバイオレンス・アクション映画(そこが良かった)だったのだが、
今作はドラマ要素が多めでテンポも遅く感じた。
2匹目のどじょうを敢えて外してきたのか ミラー監督。
単なる「怒りのデス・ロード」の前日譚というだけでなく
今後も続くであろう「マッドマックス サーガ」の一篇だと感じた。
(監督本人が「怒りのデス・ロード」の大ヒットに一番驚いていたのではないか?やってることは40数年前と一緒なのだから)
なので「怒りのデス・ロード」超えを期待していた人は、
肩透かしをくらうかもしれないが、
「サーガ」としては、申し分なく面白かった。
アニャのフュリオサは熱かった。特に眼力が最高だ。
凄く良かったが、それでもシャリセロ=フュリオサを超えてはいなかった。でもしょうがない。それだけシャリセロは、強烈でカッコ良すぎたから。
AIによって少女時代から大人の顔に違和感なく変化させていたらしいが、必要だったのか。演技力で自然に魅せてほしかった。そこは俳優の仕事であり腕の見せ所なのでは。ディープフェイク等凄い技術だが、この先俳優いらずにならないか心配だ。今作は許容範囲内だが、技術ばかりを使いすぎると白けてしまう。
あとエンドロールで「怒りのデス・ロード」のハイライト映像も要らなかった。なんだか説明しすぎな気がした。ミラー監督の考える壮大な「マッドマックス サーガ」の始まりなら尚更だ。
「怒りのデス・ロード」で残されていた謎がクリアになったのは良かった。「緑の地」、母メリー・ジャバサのカッコよさ、フュリオサの隻腕、坊主頭等々。今回はパラシュート部隊に興奮した。MADなマシンは安定のカッコ良さ。
クリヘム演じるディメンタスは小者過ぎてあまり好きになれず、
話の流れ上今回はイモータン・ジョー側に肩入れしてしまう展開も少しモヤモヤした。
ウォーボーイズのニュークス登場にも期待したが叶わなかった、残念。
そして一瞬だけインターセプター写ってた。一度フュリオサのこと助けてたんだな。
ディメンタスの終の住処はショッキングであった。
ネタバレになるが、
セルフオマージュを感じさせる場面も多々あった。
パラシュート部隊はジャイロ・キャプテンを連想。
ジャックの風貌は「2」のマックスによく似ていた。あんなショットガンも持ってたしね。
フュリオサが隻腕になる場面では、
「マッドマックス」1作目のラストシーン(上、写真)を思い出した。
ジョニーは逃げれなかったが、
フュリオサは、見事に自ら腕一本くれてやり 脱出に成功した。
あとマックスの妻ジェシーがトゥーカッター一味に絡まれ、車で逃げる際に意図せずバイカーの腕を引きちぎってしまうというシーンも想起。
御年79歳 老いて尚意気盛んなミラー監督。
シタデルに戻ったフィリオサの その後を観てみたい。
もちろんシャーリーズ・セロンで!
メル・ギブソンのカメオ出演にも期待。
次作はどうなる?ByThe Hollywood Reporter Japan
『マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015)』(120分)★★★★★
今回「MADMAX SAGA」となっているが、そもそも前作「怒りのデス・ロード」もフュリオサの物語であった。
メル・ギブソン版とは別物と認識している。
しかしながら終末の世界観は地続きでアクションは変態的にパワーアップ。
乱暴に言ってしまえばただ行って帰ってくるだけの内容だが、画だけですべてを納得させる圧倒的な熱量。
ただその実 やってることは40数年前から変わっていない。
時代が追い付いたんだな。
『マッドマックス/サンダードーム(1985)』(107分)★★★☆☆
当時「ロックンロールの女王」としてヒット曲を連発していたティナ・ターナーを敵役に向かえた色々大人の事情を感じる作品だ。3作目。
タイトルにもある ”2人が入り 出るのは1人” のサンダードームは前半30分でお役目御免。
インターセプターは登場なし、期待していたマックス的カーアクションもラスト20分くらいにやっと機関車とバギーのチェイスでおしまいだ。コメディ要素も少し入って、なんだかとっ散らかっていた。
「2」でジャイロ・キャプテンを演じたブルース・スペンスが別キャラで登場する。
マスター・ブラスターやアイアンバーなどいいキャラはいたのだが、ミラー監督は本当にこれが撮りたかったのか?と長年疑問だったが、最近では
「サーガ」の一篇には、必要なのかもと思うようになってきた。
「1」と「2」のプロデューサー、バイロン・ケネディの喪失も影響大だったのだろう。興行は大いに不振で「怒りのデス・ロード」まで30年掛かってしまった。
しかしながらミラー監督は、ヒットしなかった要因を理解していたから
大傑作「怒りのデス・ロード」を撮ることが出来たのだ。
白塗りドクロメイクの少年は、ウォーボーイズへと発展したか。
ツッコミどころ満載の珍作であるが、
ここでもマックスは英雄譚として描かれ
それは「フュリオサ」まで続いている。
「いつの日か 彼らはこのともしびを目指して 戻ってくる」
『マッドマックス2(1981)』(95分)★★★★☆
マックスマニアたちの度肝を抜いた2作目。
1作目とは全く違うディストピアなその世界観は、以降の80年代SFに多大な影響を与え、日本では世界観を完全拝借した『北斗の拳』が大ヒット。
この作品をスケールアップ、パワーアップさせたものが「怒りのデス・ロード」だ。CGの無い時代、生身のスタントの本気のアクション。
「マックス」映画に欠かせないクセツヨなキャラ群。この頃から既に登場している。ヒューマンガス、赤モヒカンのウェズやジャイロ・キャプテン、鉄ブーメランのキッド…女戦士もいたが活躍できず。
ここからマックスは英雄譚として描かれていく。
「マックスがどうなったかは知らない 記憶の中だけに生きている」
日曜洋画劇場『マッドマックス2』解説:淀川忠治
“暴走族、嫌ですねぇ~”W
この時のマックスの声 山寺宏一だった
ゴールデン洋画劇場『マッドマックス2』解説:高島忠夫
マックス:柴田恭兵、ジャイロ・キャプテン:ジョニー大倉(映画『チンピラ』コンビ)
『マッドマックス(1979)』(93分)★★★★★
オーストラリア発アクション映画。
仲間と我が子を殺され闇落ちするマックスの復讐劇。中二病的映画小僧たちを大いに興奮させた。
クールなマックスは勿論、不死身のグースや敵役のトゥーカッターとその相棒ババなど魅力的なキャラに加えて、V8インターセプター、カワサキZ1000等のマシンが爆走。スタントマンが2名亡くなったという噂のシーンを探したり、マックスターンや伝説の目玉のアップに大興奮した。
日曜洋画劇場『マッドマックス』解説:淀川忠治
“暴走族、嫌ですねぇ~”WW
水曜ロードショー『マッドマックス』解説:愛川キンキン欣也
(1983年参議院議員選挙に出馬するために水野晴郎は一旦降板していた)
マックスターン誕生
『マッドストーン(1974)』(103分)★★★★☆
日本公開は1981年で『マッドマックス』のヒットを受け「マッド」の冠をつけた(原題はSTONE)便乗公開。こちらもオーストラリア発。
TVの洋画劇場で鑑賞。ばったもんかと思いきやMADさマシマシで面白く
実は本作が『マッドマックス』のストーリーや設定の原型とされている。
トゥーカッターことヒュー・キース・バーンをはじめ、多くのキャストが『マッドマックス』にも出演している。ピアスを引きちぎるシーンが痛かった。
「マッドマックス」シリーズを語るのに欠かせない俳優
ヒュー・キース=バーン。
怪演をありがとう。 RIP
マッドマックス「ザ・ウェイストランド」の撮影を願う。
(text by 電気羊は夢を見た)
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