2人用フリー台本│放課後の2人
【概要】女声・2人用・声劇
【目安】約2400字・8分程度
本文
瑞希「あの、河合さん…」
花乃「え、なに?えっと、笹野さんだっけ」
瑞希「私は課題終わったから、良かったら手伝おうかなって……め、迷惑かな!」
花乃「まじ!?助かるー!てか笹野さん真面目そうなのに課題忘れて居残りとか意外だワ」
瑞希「いやっ!私地味子なだけで真面目とかではなく…」
花乃「え〜まじぃ?ウケるね」
瑞希「……そんな風に、ウケるって言われるの、初めてかも」
花乃「え?そう?なんか、可愛いって意味よ。こう、思ってたより喋りやすいしさ」
瑞希「喋りやすい…?私が?」
花乃「うん。だって、いつも静かに本読んでるし、なんか話しかけたら迷惑かなーとか思ってたんだよね。でも、全然そんなことなさそうじゃん?」
瑞希「そんな…河合さんが、私にそんなこと思ってたなんて」
花乃「いや、だって、アタシら全然接点なかったしさ」
瑞希「それは…確かにそうですね。河合さんは、いつもみんなに囲まれてて、楽しそうにしてるから…私なんて、目に入ってないって思ってました」
花乃「そりゃあ、まぁ、派手なグループにいるけどさ。でもね、意外と周りのことは見てるんだよ?笹野さんが毎日どんな本読んでるかとかさ」
瑞希「えっ、私が読んでる本、見てたんですか?」
花乃「うん、ちょっと気になっちゃってね。だって、いつも楽しそうな顔してるじゃん、本読んでる時」
瑞希「……そ、そうかな?あんまり意識してなかったけど」
花乃「アタシ、読書苦手だからさ、なんでそんなに楽しそうに読めるんだろうって思ってさ」
瑞希「本を読んでると…なんだか、違う世界に行けるみたいで。現実から離れられるというか…」
花乃「へぇ…なんかカッコイイじゃん、それ。ちょっと憧れるかも」
瑞希「そ、そんなことないですよ。私なんて、ただの地味なオタクで…」
花乃「オタクだっていいじゃん。むしろ好きなことに夢中になれるなんて、すごいことだと思うけど?」
瑞希「……河合さんって、もっと表面的なことばっかり気にしてるタイプだと思ってました」
花乃「え、ひどっ!そんな風に思ってたん?」
瑞希「ご、ごめんなさい!そういうわけじゃなくて、なんか…私とは全然違う世界にいる人だと思ってたから」
花乃「まあ、確かに外見とかは違うかもしれんけどさ〜。でも、中身はそんなに変わらないって思わん?私も笹野さんもさ」
瑞希「中身…ですか?」
花乃「そう。例えばさ、アタシだって悩むし、疲れることもある。友達と一緒にいるけど、時々すごく孤独に感じることもあるんよね」
瑞希「……河合さんが、孤独?」
花乃「うん。なんか、みんなの前では明るくしてるけどさ、本当の自分ってなんだろうって思うことあるわけ。笹野さんは、そんな風に思ったことない?」
瑞希「私も…あります。誰にも理解されないんじゃないかって、時々怖くなるんです」
花乃「そっか…なんか、意外と似てるじゃん、アタシたち」
瑞希「……かもしれませんね。でも、私は河合さんみたいに派手じゃないし、友達も少ないし…」
花乃「それは関係ないっしょ?アタシだって、ちゃんとした友達が何人いるかなんてわかんないし。表面だけでつながってる関係って、意外と多いんよ?」
瑞希「でも、河合さんは、みんなに好かれてるじゃないですか」
花乃「うーん、どうだろうね。それに、好かれるっていうよりも、期待されてるって感じかな。明るくて元気な河合花乃ってキャラを演じてるだけ、みたいな」
瑞希「演じてる…?」
花乃「うん。アタシ実はちょー演技派よ?本当の自分がどんなのか分かんなくなる時があるくらい。だからさ、笹野さんみたいに自分の世界をちゃんと持ってる人が、ちょっと羨ましいワ」
瑞希「私が、羨ましい…?」
花乃「そうよ。笹野さんは、誰にも左右されずに自分の好きなことをしてるでしょ?それって、すごく強いことだと思う。今日も話しかけたいって思って、アタシに勇気出して話しかけてくれたっしょ?」
瑞希「そんな風に思われるなんて…河合さんこそ強くて!憧れます!」
花乃「ハハ、さんきゅ!でもさ、私も笹野さんみたいに、もっと自由になりたいなってどっかで思ってんのかも。笹野さんと話してると、なんかそんな気がしてきた」
瑞希「私と話して、ですか?」
花乃「うん。なんか、話してたら自分の気持ちが整理される的なことない?」
瑞希「確かに……それはあるあるですね」
花乃「”あるある”?笑 ウケんね
てか、笹野さんと話してること自体苦じゃないっていうかなんか安心するワ」
瑞希「安心ですか…。でも確かに私も肩肘張らずにいられてる気がします。
…変ですかね、今まで全然接点なかったのに」
花乃「変ではなくね?だって、たまにはこういうのも悪くないっしょ?」
瑞希「うん、それは確かに!」
花乃「じゃあさ、これからもっと話してみるべ?私たち意外と気が合うかもよ?」
瑞希「……本当に?」
花乃「うん、ガチガチ!だって、今のこの感じ、すごく自然だし?」
瑞希「……そうですね。確かに、今までの私とは違うけど、嫌じゃない」
花乃「でしょ?だから、これからはもっと仲良くなろうよ」
瑞希「〜っ!喜んで!」
花乃「やりぃ!ずっと遠い感覚で観察してた笹野さんとこうなるなんて、まじ不思議〜」
瑞希「遠い感覚か〜。確かに分かるかも」
花乃「よな?この感覚分かってくれるか!」
瑞希「ふふっ、うん!わかるぞ!」
花乃「よし、じゃあこれからよろしく、瑞希!」
瑞希「えっ!?”瑞希”!?」
花乃「え、ダメ?」
瑞希「いやいやいや!ダメじゃない!……ただ、下の名前知ってたんだと思って」
花乃「え、ちょー失礼じゃん!笑 逆にアタシの名前知ってるん?」
瑞希「うんっ!花乃、ちゃん!」
花乃「ウケる、めっちゃドヤじゃん」
瑞希「ふふ、ドヤです」
花乃「ドヤだな。……てかアタシら結局全然課題やってないのウケね?」
瑞希「あっ!!そうだった!ごめんー!!」
花乃「やんや!お互い様よ!で、手伝ってくれるってのはほんとですか、瑞希っち」
瑞希「もち!です!」
花乃「よし、やるべ!」
瑞希「やるべー!!」