フリー朗読台本│父を紐解く
【概要】男声・1人用・朗読
【目安】約2000字・7分程度
本文それはなんでもない日曜日の午後だった。
僕はたまたま探し物をしていた物置で、古びた文庫本を見つけた。
何度も開かれたであろうカバーのないボロボロの表紙に記された作者名は聞いたことがないもので、つい珍しげに眺めてしまった。
リビングでくつろいでいた母親の所に持って行って尋ねると、「ああ、お父さんのじゃない?あんたの」という素っ気ない答えが返ってきた。
両親は、僕が幼い頃に離婚したから、僕に父親というものの記憶は無