見出し画像

韓国ドラマ「わかっていても」: "綺麗ごと" で終わらないラブストーリー

 大好きな韓国ドラマ、「わかっていても」の視聴を終えて、少し満たされた気持ちでキーボードを打っている。

やっぱり、一人で観るドラマは最高だ。
片耳に耳栓、片耳にイヤホンをして、温かいほうじ茶と、大学の食堂から持ち出してきたブラウニーを片手にゆったりと何も考えずに観る時間は最高に心地がいい。
終わった後に「どうだった?」と聞き合うようなスモールトークもない。
最高すぎてちょっと心が踊ってしまう。



「わかっていても」感想 (※ネタバレあり)

美大生の主人公、ナビちゃんは真剣な恋愛がしたい。
でも一目惚れしてしまったのは恋愛はしたくないけど「それらしいこと」がしたい同じ美大生の後輩、ジェオン。


結論から言ってしまうと、ジェオンは最後まで大して変わらなかった。
大切なことは、いつも口にしない。ナビに最終決定権を与えて自分が本当はどうしたいのか伝えることもなかった。
だけど、もしジェオンが最終話にして急にキャラクターが変わったら私は心底がっかりしたと思う。


人は変わらないのだ。ちょっとやそっとのことでは変わらない。
生きてきた過程がある。家族関係、幼少期のトラウマ、思春期の人間関係、教師から言われた一言、社会のルール、ぞっこんだった恋人、信頼している友人。信頼していた友人。二重らせん構造よりも、ずっと複雑な工程で人生は形成されているのだ。
もちろんジェオンだって例外ではない。例外などないのだ。拗れた恋愛観を持つ男が急に生まれ変わったら、それこそ「ドラマチック」だ。所詮ドラマはドラマだったかと、そう思っただろう。


そんなたまごの殻みたいにつるんっと剥けるわけがない。
人間なんてものは、同じ悩みを繰り返して、ぶつかりあってヒビが生えて、それでも一緒にいてようやく少しずつ変わっていくものなのではないか。
少なくとも私の持論はそうだ。

最終話でナビが「私たち、付き合おう」と切り出す。
ジェオンが「後悔しない?」と聞くとナビは堂々と
「もちろん後悔する。」と答えたのだ。そこがすごく、すごくよかった。思わずニコッとしてしまったくらい大好きなシーンだ。かっこいいと思った。
「後悔する。でも、それでいい。」と振り切れるナビの性格が私の中でとても魅力的に映った。


ちなみにジェオンの、「好きになればなるほど壊したくなる」衝動も私にはよく分かる。その理由は言葉では説明ができない。だけど、だからこそ、簡単にジェオンが変わったら幻滅したのだと思う。
このドラマは、綺麗に物語を終わらせなかった。
ナビは後悔すると分かっていた。全て分かった上で「上等だ。」と踏み込んでいく。そのたったワンシーンが私をこれほどまでに魅了した。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?