#BreaktheBias
3月8日の朝、同僚であるロシア語のTAから、メッセージが届いた。
"やっほ〜、未来香。今日の5時半は忙しいかな?女性デーのちょっとしたお祝いを家でやるから来なよ!"
ああ、そうか、今年の国際女性デーは今日だったのか、と忙しなく授業準備をしながら思った。
国際女性デーとは。
国際女性デーが制定されることになった発端は1908年にニューヨークで起きた、女性の参政権を求めるデモ運動だった。今では人権や平等、正義に敏感なアメリカでも当時は女性の立場が弱かったのだ。女性労働者たちが女性の政治的、経済的関与を求めて起こしたデモをきっかけに国連が正式に1975年に「国際婦人デー」と定めることになる。
#BreaktheBias (偏見を打ち砕け)
この女性デーでは、毎年国連がテーマを決めていて、各地でもそれに合わせて様々なイベントやパーティーが開かれている模様。今年のテーマは #BreaktheBiasだ。
昨年2021年のスローガンは"Better relation between men and women"だったのだが、私は今年のスローガンである #BreaktheBias の方が個人的には心に響くものがあると感じている。
アメリカに来て3年目。ああ、自分は普段こんなにも様々な偏見を持って生きていたのか、と修士論文を書きながら驚いた瞬間がいくつもある。例えば、私の修士論文は「女性の美的価値の変遷」についてだったのだが、そもそも「美」には基準があるものだと思っていたのだ。「美」はこういうものだ。「美人な人」とはこういう見た目の人のことを指すものだ。そんなものに縛られては苦しくなって生きていた学生時代を思い出しながら論文を書いていた。
このスローガンはジェンダーという枠を超えて私たちの人生に大切なことを教えてくれる。知らない誰かが、知らない場所で、勝手に作り上げた偏見があり、知らないうちに、知らないところで勝手に作り上げてしまった偏見だってあるはずだ。アメリカに渡米して、私は平等で正しく、ニュートラルでいることの難しさを知った。まだ自分でも気がついていない偏見がたくさんあるはずだ。まずは、そのことに気がつくことが第一歩だと思っている。
何だか生きにくいと感じている人は、何らかの偏見に縛られているのかもしれない。
「入社したら3年は働くべきだ。」
「30歳までには結婚するべきだ。」
「子供を産んでこそ一人前だ。」
「母乳で育ててあげるべきだ。」
「大学に行かないといい職につけない。」
「長男だから」「女の子だから」「男なんだから」
社会の基準が、偏見が、いつの間にか自分の基準や偏見になっているのかもしれない。だからこそ、 #BreaktheBias というスローガンはとても、とても大切なことだ。偏見を打ち砕き、より自由に、より自分らしく、クリエイティブに生きていこう。
そんなことを思いながら、国際女性デーの日に同僚がプレゼントしてくれた愛らしいチューリップの花を眺めている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?