30歳まであと1週間。
20代最後の1週間を迎えた。なんとも不思議なことだ。
30代を迎えることを、想像したことはなかった。
思えば私は、未来を考えない子どもだった。
小学校の卒業アルバムにも、将来の夢は「縄跳びを上手に飛べるようになること」だと綴っていた。
中学の卒業アルバムには、全く思ってもいない「美容師になること」を書いた。
それは、当時仲の良かったクラスメイトがそう書いていたからだ。
本当は、「美容師になる」自分を描いてなどいなかった。
高校の頃は、少し夢を持った。「留学すること」だった。
10年後の自分に向けたメッセージには、「留学していますか」と書いていた。
10年後の自分が何をしているのかには、一切興味がなかった。
ただ、国を跨ぐという"当時の欲望"を綴ったのだ。
私はきっと常に現在を生きているタイプの人間だ。
もちろん、将来を案じないわけではないが、分からない未来に空想を馳せたりはしない。30代になる自分の姿を、一切考えたことがなかったのも、性格なのだろう。悪く言えば単細胞で浅はか。ただ、おかげで20代やり残したことはない。
やりたいことからやってきた20代だった。
おかげで30目前だというのに、貯金はほぼゼロだ。普通に笑えない。
それは今は忘れてもらって、衝動に従って駆け抜けた20代になんの後悔もない。
もちろん、犠牲にしてきたものもたくさんあった。
人との付き合いや、コンプレックスだらけの顔にかけるお金や、服装。
計3回の留学に欠けた費用はざっくり300万以上。
それ以外にかけられるお金など、どこにもなかった。
「いつもお金ないね」と笑われたこともあった。
アメリカ在住時には、カードの不正利用で20万を失って学生ローンが払えず
クレジットを停められたことが何度もあった。
お金の苦労が絶えなかった20代だったが、10年間みっちり勉強して、失敗を繰り返し、恥をかき、そして大いに学んだ。
海外に行ったことが"最大の功績"なのではない。
私が20代に決めていたことは"失敗経験を積む"ことだった。
大いに恥をかいた。恥ずかしいほどの黒歴史と失敗を積んだ。
思い出したくもないこともたくさんある。
それでも、私は異国の地で"生き抜いた"。そんな小さな事実が、これほどまでに自分を支えるとは。これぞ財産であり、宝である。
決して、結果が全てではない。
私は起業もしていないし、ハーバードで教鞭を取ったわけでもない。
ただ"やりきった"だけだ。
ただ全てを終えて帰国しただけだ。
それなのに、そんな自分が誇らしいのだ。
日本に着いた時、私の全財産は5,000円だった。
口座に残っているお金などもちろんなく、すぐに住み込みのアルバイトを始めてお金を作った。
いかにギリギリで生きていたのか、誰の目にも明らかだろう。
20代をどう過ごすのか、それは個人の自由だ。
友人たちとかけがえのない時間を財産とするのも、当然正解だ。
好きなゲームに時間を費やすことにも、学びはある。
何が正しくて、何が間違っているのかなんて、一概には言えない。
現に何度でも言うが、私をこの人生まで導いたのは一つのスマホゲームで出会った
プレーヤーだ。彼と出会わなければ、私が国境を超えたのはもっとずっと後のことだったかもしれない。
20代の子たちに何か言いたいことがあるとすれば、足を動かし続けろということくらいだ。歩けば、棒に当たる。歩かなければ、棒にすら当たらない。
考えるのは、後でいい。違うと思えば、引き返せばいい。
最初の一歩すら踏み出せれば、あとは驚くほどスッキリ解決するものも多い。
今の安定を捨てることに、どれだけの不安があるのかよく理解できる。
私も最初の一歩ほど怖いものはないとよく知っている。
それでも、一歩先に進んだのであれば、あとは何とかするしかないのだ。
その事実が、君の足をもう一歩前に進めてくれる強力なパートナーとなる。
やりたいことがない人だって、足を動かし続けることで出会うのだ。
何が引き金になるのかなんて、誰にも分からないじゃないか。
とりあえず言いたいことはこれくらいだろうか。
30代のざっくりした目標は、30歳になってから考えるとしよう。