文野キウイ

一丁前にペンネームがある。

文野キウイ

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最近の記事

酔ってるからでしょ。

昔、好きな女の子に言われた言葉をおもいだした。 酔ってるからそんなこと言うんでしょ。 このセリフには一般に二つの解釈があって、酔ってない時にも言ってほしいと言う意味のそれと、酔ってるから言ってるんでしょ、はいはい。のそれ。 僕が浴びせられた言葉は後者のそれだったけれど 酔わなきゃ言えない、叶わぬ恋があったっていいじゃないと今の僕なら言い返せたのかなと、夢想する飲み会帰りの夜。 無性に食べたくなったシュークリームを直接持って家まで帰る。願わくばこのツインシューが塞ぐ左手

    • 葬式のはなし

      母方の祖父が亡くなった。 突然だった。 いつも明るい母はその日も変わらず明るかった。 家に帰って話を聞くと、久しぶりに会った親族への不満を漏らして、呆れちゃうわと笑った。 その笑顔は少し、悲しみを湛えているような気がした。 人は死ぬんだな、と思った。 当たり前か。 別におじいちゃんっ子でもおばあちゃんっ子でもなかった僕は、深い悲しみに暮れることはなかった。 23歳まで身内の死を体験せずに生きてきたが、初めて経験する親族の死は、母から送られて来たたった3行のラインと、不在着

      • 英会話苦手病とその変異種

        日本人は英語を話すのが苦手だと良く耳にする。 自信がなくて、萎縮して、声が小さくなって、余計聞き取ってもらえなくて、そんな負の連鎖がさらに苦手意識を促進していくのだとか。 かくいう僕も、英語を話すのは苦手だと思う。 外国の方は、コミュニケーションがうまく取れないから怖いし、旅行客のように確実に向こうがアウェーな状況であっても、なぜかこちらの方がおどおどしてしまったりといった感じだ。 国際化が進んだ社会では、この英会話能力不足はしばしば議題に上がるが、まわりに目を向けると同

        • 文章を書いた、どうせ死ぬのに。

          優しくされたくて見て欲しくて、 すれ違う人はみんな知らない顔で。 bump of chickenのMerry Christmasの一節です。 僕は、なんだかこの歌が猛烈に好きです。 音楽の詳しいことは一切わからんのですが、この曲の優しいメロディーと歌詞が猛烈に好きなんです。 なんで別にクリスマスシーズンでもないのにこの曲の話をしたくなったかというと、まさしく自分は、もっと言うと人間ってのはこの通りだなと思うからです。 卒論発表が終わってからというもの、僕はすっかり無

          未完のもつ完全性

          手短に。 人間の完結とは、寿命で死ぬまで生きることだと僕は考えます。 ここでいう寿命は自殺以外の全てだとします。 完結した人生は想像や、たらればの介入することのない、パッケージ化されたものになります。 だけど終わってないものは、無限の可能性を秘めています。 ハヌマーンというバンドが好きです。 僕が知ったときには すでに彼らは解散した後でした。 それはハヌマーンが、未完であるが故の完全性を手にした後だったとも言えます。 ハヌマーンの生み出した音楽は永遠ですが、バンド

          未完のもつ完全性

          エンジンの唸りが朝を連れてくる。

          今日と明日を隔てているものは一体なんだろうか。 この問いに至極真っ当に答えを出すとしたら、時間という概念ということになるのだろうか。 屁理屈で返すなら、今日と明日に明確な隔たりなどないという言い方もできそうだ。 もちろん、僕はそんな話がしたいわけではなくて たとえば、仕事やらレポートやらに追われて夜中まで作業をしたときに、 「ああ、明日だと思っていた1日が今日になってしまった。」 と思う瞬間はいつか、と言う話だ。 幼稚な意見かもしれないが、僕は今日と明日を隔てる

          エンジンの唸りが朝を連れてくる。

          早起きと独占欲

          昨日の早起きに味を占めた僕は、朝5時にアラームをセットした。 朝は、街が動き出す気配と静寂が心地よい均衡を保っている。それは布団から出られない僕のみじろぎひとつで揺らいで、少しずつ境界を曖昧にしていくようだ。 早く起きたところで、別段することもないので 無理やり叩き起こした脳で、 早起きがなぜ気持ちいいのかについて考える。 静かな朝は、まるで世界を独り占めできているような感じがするからだろうか。 世界の胎動とその息遣いが僕にだけ聴こえる。 あくまでそんな感じがするだけ

          早起きと独占欲

          好きな人の好きなもの

          好きな人の真似をする。 誰しも経験があることだと思います。たとえば、好きな人が好きな音楽を聴いてみたり、好きな人が好きな本や映画を見てみたり、好きな人の癖を真似てみたり。 ちなみに、今あげた例は全部僕がやったことのあるものです。共感してもらえたりしてもらえなかったりするかもしれないけど。 当時は意味なんかなくて、ただ、近づきたくて、真似をすることで、憧れの影を追いかけていたのだと思います。 最近になっても、好きな人の真似や追っかけばかりしている自分に関して、思うところがあ

          好きな人の好きなもの