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自分は彫刻家。芸術家がなすべきことは。
右手に粘土べら、左手に地球儀を持ち、大地に足をすえ遥か彼方を見すえる若き彫刻家の像。今作は、当時33歳の長沼孝三先生自身をモデルにし、我を律し歩まんとする己の姿を象徴的に表現した作品です。
![](https://assets.st-note.com/img/1673418019340-zB3xrMZcxn.jpg?width=1200)
時に、制作された1941年は、その年の12月に「太平洋戦争」が勃発してしまう不安な時代でした。次第に戦時体制へと進む中で、あえて自分をモデルに「彫刻家」という作品を作り上げたその意図は、今作の表情、毅然とした姿勢、像の大きさに表れています。
しかし、そんな長沼孝三先生の思いも虚しく、時代は戦争に翻弄されることになります。
今作の注目すべきところは、左手の地球儀!
左手の地球儀は、芸術の力が世界を平和にできると信じる長沼孝三先生のの信念の象徴にも見えます。戦前の作品の中で戦災を免れた数少ないもののひとつです。