WawW!を開発した伝説の編集者・乙丸益伸が発見した「幸せになる方法」がすごい!
新刊『Microsoft Wordを開発した伝説のプログラマーが発見した「やりたいことの見つけ方」がすごい!』の「あとがき」を一挙大公開!編集者・乙丸益伸氏が本を通じて得た気づき、そして制作への想いが熱く詰まっています。
企画・編集担当によるあとがき
このたびは、本書を手にしていただき、また決して短くなかった本書をここまで読んでいただき誠にありがとうございます。申し遅れましたが、本書の日本語版を企画・編集した編集集団WawW! Publishingの乙丸益伸と申します。
僕自身が本書の原書を最初に手にしたのは、2016 年10月のことでした。
その頃というのはちょうど、3年の同棲生活と3年の結婚生活、計6年間を共にした元奥さんと離婚し、さらに新卒の時から長く働いてくれていた元部下が「漫画の編集者になりたい」という夢をかなえるため大手出版社に転職していったことで、公私ともに独りぼっちの状態に なっていた時でした。
また、それまでは幸運にもいつもやりたいことがあり、その夢の実現に向けて毎日を全力疾走する日々を送っていたのですが、その頃学生時代から 年来追い求めてきた夢が実を結び、燃え尽き症候群とも言うべき人生初の「やりたいことがわからない状態」に陥っていた時期でもありました。
それまではずっと「成功」を夢見て全力疾走をしていたところから、いきなり「人生の目標」を見失い、しかもほぼ同時期に、身近で支えにしていた存在を失ってしまったーー 。
30年以上生きてきた中で、初めて人生の迷子になったかのような気分を味わっていました。
その時に思い知ったのは、(僕は自己啓発ジャンルの本作りに携わってきた編集者でもあるので)「今まで色々な自己啓発書から『成功だけを考えろ』とか『潜在意識が勝手に願望を成就しだすところまで強く念じろ』みたいな教えをまるごと取り入れて実践し続けてきたけど、そうやって辿り着いたところは、何だかとっても虚しい場所だったな......」ということでした。
「従来の自己啓発書でよく言われるような教えに従っていても、もしかしたら本当の幸せには なれないんじゃないだろうか?」「ていうか、幸せって、何!?」「幸せになれる方法ってある の?」
そうした思いが頭の中を延々と駆け巡ったのです。 同時に、「自分自身が『幸せになる方法』を知りもしないまま、そういったテーマの本を担当することは大いなる欺瞞に違いないな......」という風にも考えました。
そして、「そもそも、幸せとは何かとか、幸せになるための方法を知らないまま日々を生き ていても、それは絶対幸せに辿り着くことのできない道だったんだな」ーー その時、そうはっきりと気づいたのです。
それから僕は「幸せとは何か?」「幸せになる方法はあるか?」を探索する旅に出かけることにしました(「旅」とは言っても、物理的に遠く離れた地を訪れるような自分探しの旅ではなく、「幸せとは何かや幸せになれる方法を自分に教えてくれる本を求める旅」です)。
探索の方法はいたってシンプルで、「自己啓発 名著」「自己啓発 古典的名著」などと、思い 浮かんだキーワードを手当たり次第に検索していくものです。
はたして当時思いつく限りの候補に目を通し、中でもとりわけ印象に残った何冊もの本を実際に購入して読んでみました。けれども、次々と手に取って読み進めながら得られたのは失望感だけでした。
なぜなら、「幸せとは何か?」や「幸せになれる方法」を教えてくれる本が、その中には1 冊もなかったからです。
「うーむ、本当に幸せになれる方法に辿り着くのって、そんなに簡単なことじゃないんだな ......」
諦めと落胆の入り混じった思いを抱えたまま、最後に手にした1冊ーーそれが、本書の原書である『Getting Past OK』でした。
読み始めてものの数ページの段階で、背中に電流が走ったような衝撃を受け、そこから先は ページを繰る手を止められなくなりました。
「これは、軽々しい気持ちで読み進めてはいけない本だーー 」
直感的にそう思い、すぐさま家を飛び出して、当時一番のお気に入りだったカフェの特等席のソファに移動し、1ページ1ページ嚙み締めるようにじっくりと読んだことを今もはっきりと覚えています。
本書で紹介されていたワークもそのまま忠実に実践しました。
そしてついに「幸せとは何か?」と「幸せになるための方法」の〝答えらしきもの〟に辿り着いたという実感を得たのです。
その後、「本書から教わった『人生の目的』に真剣に向き合い続ければ、本当に幸せになれるのか?」という問いを5年以上にわたって自分の体を使って検証し続けた結果、今僕には、はっきりと言えることが一つあります。
それは、
本書は間違いなく、「人が最も幸せになれる方法」ーー正確には「人が、圧倒的なやりがいや喜びや達成感を覚えながらの毎日を送ることのできる方法」ーーを、驚くほど正確に指し示してくれている稀有なる本だ
ということです。
だからこそもし、本書を読み終えた上でまだ実際のワークに手をつけていない方は、ぜひ実践してみるところから始めていただきたいと思います。
僕自身、そうやって探り当てることのできた「人生の目的」が、間違いなくその後の人生を大きく輝かせてくれる力強い道しるべーー海図ーーとなってくれています。
本書のワークによって辿り着くことのできる「人生の目的」が最も秀逸たる理由は、他の 「夢ややりたいことを見つける本」とは違って、「夢ややりたいことの具体名」(=本書で言うところの「目標」)を教えてくれるものではない点にあります。
どういうことかというと、本書の言う「人生の目的」とは、「具体的な夢ややりたいことの固有名詞」(=個別の目標)を探り当てようとするものではなく、「その人が、人生の中で最も生きがいや喜びを感じられる『経験』や『感情』とは何なのか?」を、丁寧に掘り起こして構成されている「抽象的なもの」なのです。
つまり、「その人が人生の中で最もやりがいや喜びを感じられる『経験』『感情』に辿り着けた人」は、「じゃあ、その『経験』や『感情』を味わうには、具体的には今後、何に取り組んでいけばいいかな?」という問いを立てることによって、自らの手で「本当にやりたいこと」や「本当の夢」といった個別の目標を、それこそ無限に見出すことができるようになるの
です。
言い換えるなら、本書の言う本当の「人生の目的」を自分の中から掘り起こすことに成功した人は、それ以降、「やりたいこと探し」や「自分探し」に「一生困ることはなくなる」とい うことです。
よく世間では「自分探しの旅に出る」や「自分が何者かがわからなくて困っている」といった話が交わされますが、本書を読めば「自分が何者か?」がわからないのは結局「自分は何をしたいのか?」とか「自分はどんな仕事をしたいのか?」といった「やりたいことの固有名詞探し」ばかりに終始してきてしまったせいだ、というのがよくわかるようになるはずです。
「自分探し」とか「自分が何者か?」の答えに辿り着くために立てるべき「正しい問い」の立 て方は、「自分はどういう『経験』や『感情』を味わった時に最もやりがいや喜びを感じる人 間なのか?」という意味でのーー「自分は何者か?」ーーという「問い」に向き合うことにこそ あった、ということです。
本書によって真の「人生の目的」に辿り着いて以降、僕はそれこそ「やりたいこと」が膨大に溢れ出してくるあまり「一生のうちにこれらのやりたいことをやりきれなかったらどうしよ う......」と嬉しい悲鳴をあげるほど充実した日々を送ることができています(それまで「仕事」 にばかり時間を費やしてきた僕にとって、「仕事」だけからでなく「仕事以外」の部分からも「人生の喜び」 を感じることができる、ということも、本書から得た大きな学びの一つでした)。
最後に、このような素晴らしい考え方を発見し、本書というかたちにまとめてくださった著者のリチャード・ブロディ氏へ。やりたいことを見失って人生の迷子になっていた僕に、かけがえのない教えをくださって、 ありがとうございました。あらためて、心から感謝申し上げます。
この原稿を、あなたが開発責任者を務めて生み出された「Microsoft Word」を使って書いていることが、何だかとても可笑しな経験です(笑)。
また、日本語版の制作にあたり、素晴らしいデザインを与えてくださった小口翔平さん・畑中茜さん・三沢稜さんはじめデザイン事務所の皆さん、いつまでも原稿を提出しない僕の仕事を辛抱強く見守り、的確な指示をくださった文響社の翻訳書編集部の平沢拓さん、 そしてリチャード・ブロディ氏の茶目っ気ある生き生きとした人間性を翻訳の中で存分に活か していただいた翻訳者の坂元信介さんにも、心からお礼をお伝えさせてください。
そして何より、読者の皆様ーー僕にとっては、僕の人生を変えてくれた本書をこうして皆様にご紹介できることが何よりの喜びです。
それは、僕の「人生の目的」が、「冒険心を抱きながら、他人からの評価を一切気にするこ となく、ワクワク、ドキドキしつつ、多くの仲間とともに、ワイワイガヤガヤ、遊び心を持っ て、誰にも邪魔されることなく、一人でも多くの人に喜んでいただけたり、役に立つことので きたりすることに全身全霊をかけて取り組み、「やりたい」と思ったことは全部やり、また、 世の中から理不尽というものを取り除き、世界に真の機会の均等をもたらすことのできる活動 に邁進することで、心のおもむくままに、心温かく、自由に思いっきり楽しみながら、人生を 全力で使い切ること」にこそあるからです。
僕にとっては、本書の知見をお渡しできることが、本当に、何よりうれしいです。
皆様のご多幸を、心から祈念します。
May the force be with you.
「人生から逃げるのではなく、人生に立ち向かうための本を ― 」 編集集団WawW! Publishing 乙丸益伸