【映画】「パーソナル・ショッパー」感想・レビュー・解説
正直、どこに焦点が当てっているのか、僕には分からない映画だった。
観ている時は、凄くワクワクした。僕には、今何が起こっているのか掴みにくい映画で、だからこそ、この物語がどこに着地するのか凄く興味があった。いくつもの要素が現れて消えていった。それらが最終的に一つの何かに収斂していくんだと思っていた。それを凄く期待しながら観ていた。
しかしどうやらそういう映画ではなかったようだ。少なくとも僕の主観で語れば、物語はどこにも着地しなかった。いや、恐らくしたにはしたんだろうが、僕が思い描いていたような、それまで出てきた謎めいた要素をすべて説明してくれるようなはっきりした着地ではなかった。
つまり、ある程度物語に対する読解力がないと、この映画は面白さが分からないのだろう、と思う。
正直僕にはこの映画をうまく受けとることが出来なかったから、内容については書きすぎないようにしようと思う。というのは、予告を観てイメージしていた内容と本編に大分差があったからだ。冒頭からして、かなり予想外の展開だった。役者が予告で観た通りの人だったから勘違いはしなかったが、もし主人公以外の人物が登場していたら、観る映画を間違えたと勘違いしたかもしれない。
というわけでここでは、本編の内容紹介ではなく、僕がなんとなく記憶している予告の映像から分かることのみで、本編の雰囲気を伝えようと思う。恐らくその方が、この作品をよりフラットに観ることが出来ると思うから。
主人公のモウリーンは、キーラという著名人(恐らく女優か実業家だと思う)の「パーソナル・ショッパー」を務めている。仕事は、忙しいボスの代わりに、ショップブランドから服を調達してくることだ。キーラがパーティなどで着る服をモウリーンがセレクトして届ける、そういう仕事だ。
キーラは厳しく、モウリーンが調達してきた服をモウリーンが着ることを禁じている。モウリーン自身は、いつも同じようなセーターを着て、疲れきったような表情でパリ中の、時にはロンドンのショップを周り、服を手に入れる。
ある時デザイナー(orショップオーナー)から、キーラ用の服を着てみないかと提案される。禁じられているから、と拒むモウリーン。しかしやはり誘惑には勝てず、絶対に口外しないと約束させて着てしまう。
モウリーンの、別人になりたい願望が刺激される。
パーソナル・ショッパーとして他人の服を調達し続けるだけの日々。時にMacの設定を頼まれたりと、雑用も多い。やりたいことがやれないストレスが溜まるも、他の仕事だってクソみたいであることは変わりないとも思っている。遠くの国でシステムエンジニアの仕事に従事している恋人と電話をしていても、なかなか理解し合えない。
そんな日々を過ごしていたある時、モウリーンは殺人事件に巻き込まれることになり…。
というような話です。
繰り返しますが、ここで書いた内容紹介は、予告で伝えようとしていた雰囲気のみを伝えるために、本編の内容から部分部分をセレクトして書いたものです。本編の中で、パーソナル・ショッパーとしてだけでなく、彼女はもう一つ重要な役割を担うことになるのだけど、それに関しては一切触れていない。予告では、そんな雰囲気を一切感じさせなかったからだ。実際はどんな映画なのかは自分で確かめて欲しい。