【映画】「MONOS 猿と呼ばれし者たち」感想・レビュー・解説
久々に、なんとも言えない映画だった。
HPを見ると、この「モノス(猿)」と呼ばれるゲリラ兵たちは、コロンビア内戦で徴兵された若い兵士をモデルにしているのだろう、と書かれている。なるほど、そういう背景があるのか、と思った。観る人が観れば、社会の現実を切り取った作品だと受け取れるのだろう。
さて、そういう予備知識のない人間には、この物語は、何がなんだか分からないものとして展開される。
正直、ストーリー云々、みたいなことではない部分で評価されている映画なのだと思う。だから、ストーリー云々についてあーだこーだ言うのは野暮なのだろう。
ただ僕は個人的に、「ストーリーが理解できなければ評価できない」というほどではないが、ある程度はストーリー性があって、それがちゃんと伝わる作品である方が好きだ。
そういう意味でこの映画は、僕にとってはよく分からない映画だった。
8人の男女が共同生活をしている。といって、テラスハウスのようなものではない。
彼らは山奥にいて、何か訓練らしきものを受けている。常に銃を持ち、子どものようにはしゃぎながら、何か任務を帯びているらしいことが分かる。どうやらその任務は、「博士」と呼ばれる人物(人質らしい)の監視だ。彼らは何らかの「組織」に属しており、その「組織」の指示で動いているが、ほとんどの時間は上官など存在しない山奥であーだこーだとはしゃぎ回っているだけだ。
しかし、「牛の死」によって状況は少しずつ変わっていく。彼らは戦ったり、拠点を移したりして任務を遂行し続けるが、徐々に仲間割れのような展開へと発展していく。
不条理こそが現実であるという世界は、僕らが生きているこの世界のどこかの場所、時間軸でも常に存在しうるのだろうし、そういう意味では「現実的だ」という言い方もできるだろう。
ただやはり、「映画」として提示するには輪郭線が薄すぎるように思う。映像や音楽の不穏さは目を瞠るものがあるし、そういう感覚的な部分に関して言えば非常に力強い作品と言えようが、そういう部分にあまり関心のない僕にはちょっとなんとも良さが分かりにくい作品だった。
とにかくこの映画は、予告とポスターがとても良い。予告は、メチャクチャ面白そうなんだよなぁ。