【映画】「世界残酷物語」感想・レビュー・解説
あんまりよく分からずに観に行った映画ですけど、どうやら、結構昔のドキュメンタリー的な映画みたいだ。
冒頭で、「この映画の映像はすべて真実だ」とナレーションが流れるのだけど、「ホントか?」と思うような映像が時々あった。特に違和感を覚えてしまったのが、日本の映像。日本は2回出てくる。僕が知らないだけで、当時本当にあったことなのかもしれないけど、「牛を8時間マッサージしてビールを飲ませる」と「ショートパンツとブラジャーだけの女性が男性の身体を洗うサービス」みたいなのが登場した。「牛にビール」って話は聞いたことがあるんだけど、「8時間マッサージ」ってのはホントなんかなぁ。「女性が男性の身体を洗う」ってのも、どことなく嘘くさく感じてしまった。
と感じてしまった部分があるので、「この映像、ホントなんかなぁ」と感じてしまって、微妙に受け取りきれなかった部分がある。
とはいえ、全部ホントの映像だと言っているのだからそれを信じるとして、なかなか衝撃的な映像が多々あった。
一番驚かされて、ちょっと目を細めてしまったのが、ヨーロッパのある国(どこだか忘れた)ののキリスト教に関係する(はずの)祭り。その祭りの日には、男性が自分の足を、ガラス片をたくさん付けたコルクで叩きまくって血流させて、その状態で町を歩く。これは、暴力を受けて血を流して歩いている、みたいなのを再現しているようだ。流血させている男性は全然足を痛そうにしてないのだけど、僕は「うわぁ…」と思って、ちょっと直視できなかった。
他にも面白かった映像は色々ある。例えば、ある少数民族。耕作の習慣がなく、土地は痩せたままで、非常に貧しい民族らしいのだけど、5年に一度大規模な祭りが開かれる(5年おきなのも、貧しいからだ)。その祭りでは、5年間ひたすらに育て続けた豚を、村人全員で食べ尽くす、らしい。超大量の豚を棍棒で殴り倒して、さして火が通っていないまま貪り食う、という祭りだ。現地の言葉で「焼く」というのは「豚にさっと火を通す」という意味だそうだ。
まあその祭りそのものはいい。その祭りそのものより衝撃的だったのが、その村の女性の子供が殺されてしまったというその理由。なんと「豚に母乳を飲ませるため」だそうだ。おいおい、マジかよ、と思った。
また、ビキニ環礁の話も驚きだった。10年前に、ビキニ環礁で水爆の実験が行われた。それから生態系に影響が出ている。海上の白い点々は、死んだ蝶々だ。海中の危険性を察したある魚(日に僅かな時間だけ水に浸かっていれば生きていられるらしい)は、海岸沿いに生えている木の上に生活場所を移した。砂浜に産卵にやってくるウミガメは、産卵した後普通は海に戻るが、方向感覚がおかしくなっているために、産卵後内陸に進んでしまう。海のそばに広がる砂漠には、そうやって命を落としたウミガメの死骸が山程ある。
この映画がいつ撮られたもので、現在のビキニ環礁がどうなのか分からないけど、やはり放射能は恐ろしいものだと実感させられる映像だったなと思う。
全体的に面白かったわけではないのだけど、部分部分で面白い話が出てくる感じかな、と思います。