【映画】「ゲット・アウト」感想・レビュー・解説

内容に入ろうと思います。
黒人のクリスは、白人の彼女・ローズと付き合って5ヶ月、ローズの実家であるアーミテージ家に行くことになった。彼氏が黒人であることを両親に伝えていない、と言うローズに、クリスは不安を吐露するが、両親は差別主義者じゃない、とローズは優しく諌める。
ローズの運転で実家へと向かう途中、鹿を撥ね飛ばすというアクシデントがありつつも、笑顔の両親に迎えられ、クリスは屋敷の中を案内される。
クリスはその過程で、アーミテージ家に雇われている黒人の管理人や家政婦に、言いようのない違和感を覚える。
翌日、ローズも知らされていなかったようだが、白人のお偉いさんを集めた「親睦会」という名のパーティーが開かれた。そこでもクリスは居心地の悪い思いをすることになる。
何かがおかしい…。そう思うクリスだったが…。
というような話です。

前半は、かなり面白かったです。とにかく、この設定、この展開で、このあとどうなっていくんだろう、という興味が凄く駆り立てられました。

とにかく、なんだかよく分からないけど凄く不穏な感じが漂っていて、なんだなんだ、どうなるんだ感が凄かったです。ところどころ、ホラー映画か!っていうぐらいびっくりさせられるシーンもあって、座席から飛び上がりそうになることがありました。

ただ後半、アーミテージ家の不穏さの背景が明らかになってからは、うーん…と思ってしまいました。僕が感じたことをそのまま書くと、「こんな展開がアリなら、なんでもアリじゃね?」ということでした。

後半の展開が、悪いとは言いません。ただ、全体の構成として、あまりに唐突でよく分からない、というのが正直なところでした。前半では、「アーミテージ家には何かあるぞ」という不穏さはひたすら強調されますが、でも、後半の展開に繋がるような、いわゆる伏線めいたものはほとんど感じられませんでした。

前半で、後半の展開に繋がるような伏線がもう少し出てくれば、納得感はあったかもしれません。ただ、前半でほぼ何も描かず、後半でいきなりあれを出されたら、いやーちょっとそれは急展開過ぎでしょ、と思いました。


下手な喩えですけど、こんなのを考えてみました。例えばよく行くデパートが、「◯日から何かやるよ。何するかは当日まで秘密だけどね」的な宣伝をこれでもかとしているとしましょう。普通なら買い物客は、バーゲンでもやるのかな、あるいは大物芸能人でも呼んでイベントでもやるのかな、と思うでしょう。で、◯日当日デパートに行ったら、いきなりデパートの建物が取り壊されてた…。みたいな肩透かし感がありました。えー、それはちょっと違うっしょ、と。

とはいえ、やはりそういう僕のような受け取り方は、浅いようです。あまり映画の評判をネットで調べたりはしませんが、この映画について調べてみると、序盤から伏線のオンパレードだったという分析を書いているサイトを見つけました。
http://www.club-typhoon.com/archives/18823993.html
(サイトの中でも注意喚起されていますが、映画を観る前には読まない方がいいと思います)

これを読むと、なるほど言われてみれば確かにそういう部分が伏線だったかー、と思えるんですけど、いや、ちょっとこれ、一回観ただけどころか、何回観ても僕は気づかないだろうなぁ…。

というわけで、物語の細部まで含めて色々汲み取れる人には、とても面白い映画だと思います。ちょっと僕には、レベルが高すぎたなぁ

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長江貴士
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