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【文活8月号ライナーノーツ】戸田鳥「アーチ」
この記事は、文活マガジンをご購読している方への特典としてご用意したライナーノーツ(作品解説)です。ご購読されていない方にも一部公開しています。ぜひ作品をお読みになってから、当記事をおたのしみくださいませ。
コロナ禍をテーマに書くことは避けていました。すでにいろんな場で題材にされていますし、それらにあまり興味を持てないでいたので。創作として楽しめるのは、この状況が遠のいてからになるだろうと考えていました。
私自身は生活面で困窮することはありませんでしたが、緊急事態宣言で仕事は多忙を極め、楽しみにしていた観劇が次々中止となり、不安を煽る声を何ヶ月も浴びたことはかなりのストレスでした。
ある日、何気なく聴いていたラジオでマスク生活の話題があがりました。
マスクの長期着用で顔の下半分の筋肉が衰えるとか、人によっては人前で素顔をさらすことに恐怖を感じるとか。
たかだか1年半で、こうもたやすく身体も精神も変えられてしまうのかと驚き感心しました。それほど人の生きかたが変わりつつある、のであれば、いまの自分の感情を記録しておこう。そう気が変わりました。ことが終わったあとに書いてもおなじものは出来ませんから、いまの新鮮な気持ちのうちに。
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