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【能登半島地震】「念仏出なかった」「現地へ来て見て」…教区から支援学ぶ

 能登半島地震の現状を知ってもらおうと、真宗大谷派金沢教区(髙桒敬和教務所長)は9月11日、教区同朋総会で被災地支援講演会を行った。甚大な被害を受けた能登教区の濤(おおなみ)恵周・長覚寺(石川県珠洲市)住職と崖(きし)超(はるか)・浄明寺(同県輪島市)副住職が現地の状況を、金沢教区の有志でつくる災害支援ネットワークの藤場剛氏(常讃寺、同県野々市市)が支援状況を発表。30人超が参加し、座談会も行われた。(高田京介)

 能登地方は、2007(平成19)年に最大震度6強を観測した地震からの復興が一段落して以降、22年から今年まで震度6弱以上の地震が3年連続発生した。

 濤住職の長覚寺は、昨年の地震で本尊を修理したばかりだったが、本堂内陣が今回再び被害を受けた。1~2月は生き残るため必死に生活していたといい、自衛隊や消防、全国からの支援に感謝を示した。

 県は約6800戸の仮設住宅を建設する方針だが、当初目標としていた8月までに全戸入居はできていない。

 住宅や墓地が全壊した門徒らの中には珠洲市を離れる決断をした人が多かったが、濤住職は「良いとか悪いとかでなく、人生の思い出が詰まった地を離れられなかった」と自身の心境を述べた。また「話を聞いてもらえる場がなく、一般のボランティアも少ない。助け合い、少しずつ力を借りながら、こつこつと前進したい」と話した。

 自坊の本堂と庫裏が半壊の被害を受けた崖副住職は、自身も災害支援の団体「チーム輪島」を立ち上げ、支援に従事するようになった。崖副住職は「人に話を聞いてもらえる場がほしいと感じている人が多い。しゃべらないと気持ちが落ちこんでいく。『また来てね』『また来るね』という言葉に支えられてきた」と声を詰まらせた。

被災地の現状や能登支援の在り方を考えた大谷派金沢教区の同朋総会

 「発生当初3カ月は、お念仏が出てこなかった」とも振り返り、「地震のおかげとは言えないが、起きたことで気付かされたことがたくさんあった」と付け加えた。

解散後に再結成

 藤場氏は、金沢教区の災害支援ネットワークの活動を説明した。

 同ネットワークは東日本大震災を受けて結成し、一度は解散したが、元日の地震を機に再結成したという。現在も月1回以上、教区の若手僧侶らが炊き出しなどを行っている。

 藤場氏は「支援の在り方は多様。初めてのことで失敗ばかりだが、大勢の人々と考えていきたい」と呼び掛けた。

 座談会では、宗派有志がバラバラに支援に当たっている状況への問題提起や、宗派による広報の充実を求める声が上がった。登壇者は「一番のお願いは現地に来てほしいこと」と口をそろえ、支援活動に参加して感じたことを、家族や友人知人に伝えてもらうよう求めた。

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