【能登半島地震】「出張除夜の鐘」で支援金集め
※文化時報2024年10月25日号の掲載記事です。
大阪府柏原市の浄土宗安福寺(大﨑信人住職)は13日、地元の大和川親水公園で開かれた地域イベント「おいな~れ国分祭」に出展し、関西福祉科学大学の学生らと共に能登半島地震の被災地への支援金を集めた。
「出張除夜の鐘」と称した持ち運びできる鐘楼(高さ約1.5メートル、幅約1メートル)の鐘を、被災地で暮らす人々への思いを込めて突いてもらい、寄付を頂くというスタイル。参加者には、学生らが描いた能登半島のステッカーを手渡した。
市立国分小学校PTA会長でリサイクルショップを営む西村康至さんは「自分の力で活動することは難しい。寄付を通じて、支援に取り組む人に任せたい」。大﨑住職は「学生さんと共に、地域の人たちといろいろな話ができた。それが一番よかった」とほほ笑んだ。
集まった1万4700円は「令和6年能登半島地震柏原市災害支援対策協議会」を通じて被災地に届けられる。「出張除夜の鐘」は今月26、27の両日に関西福祉科学大学で開く大学祭にも出張する。
お寺にできる心の支援
関西福祉科学大学と安福寺は、介護者カフェ=用語解説=の運営を通じて協力関係にある。今回は、社会福祉学部福祉創造学科の南多恵子准教授が、学生たちが被災地支援のために作ったステッカーを生かす方法がないかと考え、授業の一環で今月10日に学生17人を連れて安福寺を訪れた。
大﨑住職は、介護者カフェや障害のある子どもを持つ親たちが分かち合う「親あるあいだの語らいカフェ」、フードパントリーなどの活動に取り組んでいることを紹介。寺院による地域貢献の重要性を伝えたという。
大﨑住職は「福祉の現場に立ったとき、お寺に相談することも選択肢の一つだと知ってほしい」と語り掛け、学生の椿原大輝さんは「お寺は葬儀や法事のイメージだったが、地域に寄り添うとなると印象は変わる。地元のお寺の住職にも伝えたい」と話した。
南准教授は「人をつないだり、心を支援したりすることは、公的支援では難しい。死と向き合うお寺ならではの場を、全国で開いてほしい」と語った。
【用語解説】介護者カフェ
在宅介護の介護者(ケアラー)らが集まり、悩みや疑問を自由に語り合うことで、分かち合いや情報交換をする場。「ケアラーズカフェ」とも呼ばれる。主にNPO法人や自治体などが行っているが、浄土宗もお寺での開催に取り組んでいる。孤立を防ぐ活動として注目される。