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【能登半島地震】禁門の変に復興学べ 大谷派のベテラン議員

※文化時報2024年6月21日号の掲載記事です。

 真宗大谷派は元日の能登半島地震で約950カ寺が被災した。宗議会議員の中には、議会活動や宗務に役立てればと、被災地を視察した人も一定数いる。与党会派・真宗興法議員団のベテラン、下谷泰史議員(大垣・8期)もその一人だ。同朋会運動=用語解説=の推進が、能登にある「土徳」の復興になると確信している。(高田京介)

 下谷議員は、熊谷宗惠内局の参務時代に災害救援本部を担当した。2004(平成16)年の新潟県中越地震では、被災地を視察。全村避難した山古志村(現・長岡市山古志地区)を訪れ、門徒から支援のニーズを聞き取った。何度も問い掛ける中で、女性の門徒からやっと出てきた言葉が「お念珠をください」。北陸の信仰心を垣間見たという。

 能登半島地震では、今年2月に親戚関係にある石川県七尾市の信行寺などを訪問。信行寺には、大正天皇が皇太子時代に行った北陸行啓の折に建てられた御便殿(ごべんでん)と供奉殿(ぐぶでん)のうち、供奉殿が書院として移築されている。宗会後にも能登再訪を予定する。

 復興に向けて下谷議員が参考にすべきだと考えているのが、東本願寺が火災に見舞われた1864(元治元)年の禁門の変。不慮の火災後に建立した仮堂宇が再び焼けた際、当時の嚴如上人(大谷光勝師、1817~94)は再建を求めず、念仏に出遇(あ)う場として勉強会を始めたという。

 下谷議員は「各地に広がり、ずいぶんたってから両堂再建の機運が高まった。能登の復興もそれぐらいの長い取り組みになる。門徒の復興がお寺の役割の一つ」と話す。

 その上で、近年の行財政改革や、親鸞仏教センターの本多弘之所長による『増補版 親鸞教学』(法藏館)を引き、「宗門の根幹は、学事、教学、信仰運動に尽きる。この3本柱に人材と財を集中しなければならない」と、学習の場を設けることを提案した。

 信仰運動とは、同朋会運動の実践と推進を指す。「あらゆる組織に運動の意義を訴え続けた結果、今日の宗門がある」。運動論に能登復興のヒントがあると、力を込めた。

【用語解説】同朋会運動(どうぼうかいうんどう=真宗大谷派)
 1961(昭和36)年の宗祖親鸞聖人700回御遠忌法要を機縁に、その翌年に当時の訓覇信雄宗務総長によって提唱された信仰運動。「家の宗教から個の自覚へ」というスローガンが掲げられた。

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