【能登半島地震】真宗大谷派、宗派も有志も支援着々
※文化時報2024年2月6日号の掲載記事です。
元日の能登半島地震で震度7を観測した地区があったことが分かった石川県輪島市で、真宗大谷派の若手僧侶らが炊き出しを行っている。真宗の金城湯池として知られた北陸路の中でも、能登地方には多くの寺院があり、宗派は2月1日、能登教務所(石川県七尾市)にボランティア支援センターを開所させた。一方で僧侶や門徒有志によるネットワークの構築も進みつつある。(高田京介)
1月19日午後3時。災害ボランティア団体に紹介され、能登教区と金沢教区の20~40代の若手僧侶11人が避難所になっている市立門前中学校(輪島市門前町)の駐車場前に集まった。前もって下ごしらえされたダイコンやサトイモ、ニンジンなどを大鍋で煮込み、みそや豚肉を加えて、約200食の豚汁をこしらえた。
午後5時ごろまでに建物内に大鍋が運ばれ、列を作る住民たちに順番によそった。能登教区常福寺(石川県七尾市)若院の畠山一心さん(21)は「七尾でもすこしずつボランティア活動へのまとまりができてくれば」と今回の取り組みに期待した。
金沢教区正林寺(金沢市)衆徒の池﨑方子さん(40)は、2016(平成28)年の熊本地震で実家の大分県竹田市の光西寺が被災した。「熊本地震や九州の豪雨災害で多くの方々から支援をいただいたことは忘れていない。今回の地震で何かできることがないかと思い、呼び掛けに応じた」と話した。
ボランティア受け入れ
1月25日の宗派発表によると、能登教区は353カ寺中295カ寺が被災。このうち本堂の大規模被害があったのは69カ寺で、被害を免れたのは14カ寺だった。また、連絡がつかなかったり避難などで状況不明だったりする寺院が44カ寺に上っている。
他の教区では新潟179カ寺、金沢125カ寺、富山59カ寺、福井23カ寺、小松大聖寺17カ寺、京都3カ寺が被害を受けた。
宗派は金沢教務所に現地災害救援本部を設置し、同26日までに6回に分けて宗務役員を派遣。能登・金沢の教務所職員と協力して被災寺院を見舞ったり、避難所に支援物資を届けたりしてきた。
2月1日には、能登教務所にボランティア支援センターを設置し、現地災害救援本部も移した。センターは同5日にも始動し、ボランティアの受け入れ体制を整えていく方針だ。
宗議会議員の諸岡敏・明敬寺(石川県輪島市)住職は「前回の能登半島地震から7年かかった本堂の再建については、今はもう考えられない」としつつも、「寺がなくなっても僧侶の役割は変わらない。きっと何かできることがあると感じている」と前を向いた。
有志ら「北陸門徒ネット」
能登教務所が位置する七尾市は断水が続いている。市街地の復旧については進んできているものの、市のボランティアの募集はまだ始まっていない。
そうした中、北陸各地の僧侶や門徒らの有志が災害支援ネットワークを結成。1月10日には資金や機材を調達しようと、僧侶17人が呼び掛け人となって会員制交流サイト(SNS)で協力を募った。
14日には規約も定め、菊池正人・誓光寺(富山県射水市)住職、佐々本尚・専光寺(福井県鯖江市)住職、藤場俊基・常讃寺(石川県野々市市)住職の3人が共同代表となって「災害支援北陸門徒ネット」が発足した。
すでに160人超の賛同者を集めており、宗議会の無所属議員の名前が多く並ぶ。各教区有志によるボランティア活動や被災状況などの情報を共有するサイトも作った。
ボランティア団体を対象とした助成金の申し込みを受け付けたほか、引き続き支援金も募っている。当面は能登半島地震の支援に当たり、中長期的には被災地を限定せず活動を行っていく方針という。
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