【能登半島地震】苦しみ生かす道探る 宗援連情報交換会
※文化時報2024年10月29日号の掲載記事です。
宗教者と宗教学者らでつくる「宗教者災害支援連絡会」(宗援連、島薗進代表)は16日、真如苑友心院(東京都千代田区)で第41回情報交換会「持続する能登半島地震・豪雨支援活動」を行った。復旧が進まない中、9月下旬に発生した記録的豪雨の災害支援についても活発に意見を交わした。
金光教大阪災害救援隊の竹内真治氏は地震後、石川県輪島市門前町浦上地区を中心に炊き出しや地元の祭りを支援したことを報告。「炊き出しの日だけは家族が集まって笑い合えるよう、メニューにこだわることが重要」と指摘した。
豪雨で調理機材が水没・破損した近況にも触れつつ、「豪雨前と同様、炊き出しにこだわり、一から支援を再開する。常に食を通じた伴走者でありたい」と意気込みを語った。
天理教本芝雪分教会(横浜市港北区)の遠藤教一教会長は、天理教が説く「ひのきしん」は「親神様のご守護に感謝をささげる自発的な行為」であることを伝えた上で、珠洲ひのきしんセンター(珠洲市)の活動や概要を説明した。布教活動はしないという前提で地元の行政と連携し信頼関係を築くことができたと話した。
同センターで活動する天理教寶立分教会(同市)の石橋雄一郎教会長は、準半壊の家屋は公費解体の対象外で、水道の配管修理もできずにいる実態に言及。「全国から修理工事に駆け付けてくれるボランティアには感謝しかない」と述べた。
真宗大谷派浄明寺(輪島市)の崖超副住職は地震直後「全てが終わる覚悟」でいたが、多くの仲間が駆け付けてくれ、ただ「やらなきゃ」という気持ちだけで動いてきたと振り返った。「災害は忘れることはできるが、苦しみから逃れることはできない。苦しみを生かす道を探ることが私たちの務め」と説いた。
創価学会平和運動局の遠藤晴美氏は、9月下旬の豪雨直後、七尾市の関連施設に災害対策本部を構えて大量の飲料水を搬送し、清掃ボランティアを実施したことを報告。新日本宗教団体連合会の大出哲史氏は、富山県氷見市を拠点に所属教団の有志が緊急支援活動を行い、輪島市、珠洲市で飲料水の供給や家財の搬出などを行ったと伝えた。
島薗代表は「社会を体に例えると、宗教は神経のようなもの。行政が行き届かないところは、宗教が痛みを感じて救うことができる」と総括した。