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【能登半島地震】がれき撤去、傾聴サロン…本願寺派門徒が支援

※文化時報2024年8月6日号の掲載記事です。

 能登半島地震で被災した石川県で、浄土真宗本願寺派の門徒らが精力的な支援活動を展開している。がれき撤去などで人手が必要とされる状況が続いているのに加え、傾聴による分かち合いなど仏教精神に基づく活動も始まっている。(大橋学修)

特技と経験生かす

 輪島市門前町の応急仮設住宅清水第1団地の集会所では、一般社団法人えんまん(代表、八幡真衣・本光寺副住職)と、震災支援を続ける会(代表幹事、石﨑博敍・大圓寺住職)が共同で傾聴活動「おしゃべりサロン」を開いている。

 僧俗問わず、傾聴ボランティアに取り組もうと考える人に、宿泊所と補助金1万円を提供することで、人材確保と継続的な支援を展開。7月20日には、孤独や不安で悩む人の相談ダイヤル「いのちの電話」の相談員を務める門徒の森千鶴さん(滋賀県長浜市)をリーダーに「おしゃべりサロン」を運営した。

 森さんが清水第1団地を訪れたのは2回目。前回の傾聴活動で散髪へのニーズがあることを知り、今回は友人の美容師を連れて来た。

 無料で提供した散髪コーナーの傍らに置いた座卓では、順番待ちの住民たちが雑談したり、互いに被災状況を打ち明けたりした。森さんは、刻んだたくあんをコッペパンに挟んだ長浜市の名物「サラダパン」を配りながら話し掛けた。

サラダパンを出しながら住民と話す森さん(右から2人目)=7月20日、石川県輪島市

 森さんは「人が集まると情報交換などで話が弾み、少なくなると地震発生時の話が出てくる。あまり構えず、介入しすぎないようにする緩さが大切」と話した。

教団の信頼支えに

 日常生活が戻りつつある七尾市内では、現在もがれき撤去のニーズが高い。浄土真宗本願寺派が金沢別院に開設した能登半島地震支援センターには、ボランティアが毎日派遣されている。7月21日には、全壊判定された門徒の家屋で、愛知県の門徒の粂亜希子さんががれきを片付けていた。

 粂さんがボランティアで七尾市に来たのは、今回で10回目。「支援センターがなければ、何度も来られなかった」。ただ、ボランティアの数が少ないと感じており、知人からは「まだ被災地ですることがあるの?」と尋ねられたという。

被災家屋から仏壇を運び出す門徒ら=7月21日、石川県七尾市

 がれきの撤去を手伝ってもらった門徒は、橋屋愈(まさる)さん(76)。2階建ての家屋の前面が崩れ落ち、修復不能になった。信頼できる知人に手伝ってもらっていたが、片付けが追い付かず、本願寺派の支援センターを知り、すぐにボランティアの派遣を要請した。

 橋屋さんは「本願寺の人だから信頼もできる。大切なものがあっても任せられる」と話していた。

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