中庸のジル
~始まり、破滅、そして繰り返すこと~
この世の始まりから数千年
神は三つの働き人をお造りになりました
一つの役割に偏りが生じたとき、
夢撒き人が種を失い、
破滅の闇は自らをも滅ぼしながら、鎮静していきました
そして闇が深まり、
外郭からバランスの力が動き出すのです
いま、ジオラマを覗く三つ目の働き人の姿がありました
中庸のジル
黒と白、半分ずつの仮面の顔
体は鷲の羽毛に被われています
この世の果てで、緑の殻に閉じ籠るペトを白の鉤爪と黒の鉤爪でつまみ上げ、
ジオラマの世界から取り出しました
種まきを忘れた夢撒き人に
本来の役目を思い出させるため、
灰の堆積する地を呆然と見詰めるペトに
ジルが渡したのは三つの種
慈愛、希望、再製
これを以て、永遠を繰り返すことを教えました
中庸のジル
光と闇のバランスを量るもの
破滅と始まりを導くもの
光溢れ、影が薄れれば
再び、黒き焔を放つでしょう
神の天秤に忠実なるもの
そこには、一切の迷いはないのです
文雀
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三部作の完結です。白髪のペト、黒髪のモダ、中庸のジル。お話は永遠を繰り返しているのかもしれません。
かねてより絵本を出版することが夢でした。サポートして頂いた際には、出版するための費用とさせていただきます。そしていつか必ず絵本としてお返しさせていただきたく、よろしくお願いします。ひとりでも多くのこどもたちの夢見る力を応援したい。それがストーリーテラーとしての役目です。