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本日発売!種数増だけじゃない「新日本の昆虫1900」のこだわりポイント

 自分はふだん野鳥雑誌BIRDERの編集者をしています。趣味はバードウォッチングで、昆虫は小学生のころにカブトムシを育てるくらいのことはしたし、今も大人気ゲーム「あつ森(あつまれ どうぶつの森)」の虫図鑑をコンプリートする程度には好きですが、特に詳しいというわけではありません。そんな自分が前身の『日本の昆虫1400(以下、1400)』から今回の『新日本の昆虫1900(以下、1900)』を担当する中で、虫を見る目は大きく変わり、目の前の昆虫にかなり意識を向けるようになりました。

昆虫は鳥以上に身近な野生動物。その興味が高まると自然観察の楽しさは倍増【オオシオカラトンボ雌】

 2013年に刊行した1400は、標本写真ではなく、まるで生きている状態で図鑑の中に入れたような「白バック写真」を多用した画期的な図鑑で、ベストセラーになりました。その後、多くの図鑑や書籍で白バック写真が珍しくなくなった今、リニューアルにあたってはそんなライバル達に負けないよう、多くの改良を行いました。いくつか紹介しましょう。

① どうやって500種も増やしたの?

 書名が1400→1900となったことからもわかるように、種数が500種近くも増えています。でも器の大きさ、つまり本の形は1400も1900も同じ「A6判・320ページ」です。どんなカラクリを使ったのかといえば、1400であった1ページ1種のページをなくしたり、コラムを見直しました。また掲載種によく似た種、つまり類似種の情報が1400に比べて充実しています。昆虫を正しく見分けるには類似種の情報は不可欠、種数が増えたことで、見つけた昆虫をより識別しやすくなったといえます。

上写真の6種は1400から継続で掲載されている種だが,タテハモドキとアオタテハモドキは白バック写真の点数が増えている。1400ユーザーは1900と見比べて,どんな情報が増えたか探すのも楽しい
1400では1ページ扱いだったオニヤンマは1900でも1ページ扱いだが,白バック写真が増え,部分図の追加などで情報が充実した

② デザインは一新

「白バック写真と解説テキスト」という構成は1400も1900も同じなので、デザイン的な変化は見えにくいかもしれませんが、実は全面的に変わっています。新たに加わったアイコンや色使い、絵解き検索のデザインがより洗練されたことに加え、大きな改良点は「UDフォント」の採用です。UDとは「ユニバーサルデザイン」のことで、道路標識や家電の操作画面などに使われており、多くの人にわかりやすく、読みやすく、読み間違えにくいように工夫された文字(フォント)です。子どもから大人までいろいろな人が使う図鑑なので、デザインも使いやすさを大切にしたものを選びました。

UDフォントは目に優しく,小さな文字でも読みやすい。定評の絵解き検索も各目のテーマカラー(写真のバッタ目はグリーン系)が地に敷かれているので,ほかのページと見分けが付きやすい

③ より識別しやすく、白バックを活かそう

 今回、白バック写真は半分以上が差し変わっているのですが、それ以上に変わったのが解説文で、ほぼ全面改訂です。形態や生息環境などの情報が充実し、白バック写真をカタログのようにただ並べただけの本ではなく、「実用的な図鑑」として使ってほしいという思いの表れです。
 また昆虫に詳しくない人にとって「前胸背前葉が黒色で後葉は赤色」と書かれても何のことを指しているのかわかりません。とかく専門的用語が多い生き物の識別、図鑑の最初についている「各部名称」を確認するのもよいですが、その場でも確認できるように、白バック写真に直接引き出し線を入れることにしました。本文と白バック写真の丸数字を対応させれば、どの部位を指しているかがひと目でわかります。

白バック写真には本文に対応した丸数字&引き出し線,さらには線画に部分拡大図など,識別のための情報をこれでもか!というほどに投入。ポケット図鑑の枠を越えた情報量が売り

 1400を刊行したときは「新しい昆虫図鑑のスタンダード」、そして今回の1900では「最強・最良の標準図鑑」というキャッチコピーを付けています。スタンダード・標準という言葉には、「判断のよりどころになる目当て」という意味があり、ふだんは本棚にいてここぞというときに使われる図鑑ではなく、いつも身のまわりにあって、気が向いたときに手に取り、そしてボロボロになるまで使われるような図鑑にしたいという思いがあります。それは例えるなら普段着のような図鑑で、普段着だからこそ使いやすく、長くくり返し使われてもあきないような作りを意識しました。これからのシーズン、自然観察の主役は昆虫になります。新しくなった昆虫1900を相棒に、虫に“夢虫”になってみませんか?

オンライン講座を7月26日に開催!

 図鑑の刊行を記念して,オンライン講座を開催します。図鑑の制作秘話や白バック写真の撮影法を紹介。1900を使った夏休みの宿題のヒントもあるので,自由研究にお悩み中の小中学生は必見です!

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