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『羽根識別マニュアル 増補改訂版』 ここが変わった! 担当の推しポイント紹介

 2023年10月10日、3連休明けのこの日、『BIRDER SPECIAL羽根識別マニュアル 増補改訂版』はめでたく印刷の日を迎え、担当編集のN村は印刷立ち合いをしていました。「初版の刊行からもうすぐ3年、増補改訂の決定から8か月、紆余曲折あったけど何とかここまで来た!」——今回変わったのは表紙の色だけではありません。担当編集の目線で、今回の増補の推しポイントを紹介しましょう。

印刷終了!もうすぐ皆さんのお手元へ

羽根図鑑の種数が一気に50種増!文一史上最多の掲載数

 『羽根識別マニュアル』はチャート・図鑑・顕微鏡観察の3章構成ですが、最も目につくのはやはり2章の羽根図鑑でしょう。グレーの地に整然と並ぶ羽根は、見ているだけでも壮観です。今回の増補改訂では初版の224ページから256ページと32ページの大幅アップですが、大半はこの2章です。羽根図鑑で「ページが増えた」といえば掲載種の増加ですが、実に50種が追加されています。ヤンバルクイナなどの離島の固有種、オニカッコウのような珍鳥・迷鳥の類だけでなく、イソヒヨドリやキビタキといった見る機会は多いものの、初版で外れてしまった鳥や、インドクジャクやカオグロガビチョウといった近年注目の外来鳥も含んでおり、バランスよく増やした感じです。そしてこの追加により掲載種数は初版の265種から315種となり、文一総合出版の羽根図鑑のラインナップでは最多となりました。

ヤンバルクイナは掲載する羽根を増やし,ツルクイナが初掲載。固有種・希少種の羽根も充実!
左のイソヒヨドリやキビタキは今回のページ増で初めて掲載となりました

 また、初版で掲載されていた種もパワーアップしています。拾う機会の多いカモ類の体羽をずらりと並べたり、ハシブトガラスやコクマルガラスといったカラス属の尾羽一覧も新しく収録しました。さらに壮観なのは186-187ページのホオジロ類の尾羽・風切羽の一覧。「よくここまできれいに集めて並べた」と、著者の藤井幹さんの羽根にかける情熱を感じられる必見のページです。

ホオジロの仲間の尾羽と風切が整然と並ぶページ。比較して識別するのにも役立ちそう

秘伝の技を公開? 羽根の整理法がバッチリわかる

 もし外で羽根を拾ったとき、その羽根がきれいだったり、特徴的な見た目だったら、手元に残しておきたいと思うでしょう。でも拾ったままで保管してしまうと、折れ曲がったり、カビが生えたり、虫に食われたりしてしまいます。拾った羽根をきちんと保管するにはどうすればいいか、コレクターそれぞれにノウハウがあるのですが、本書の著者の藤井さんがどうやって羽根を拾い、洗い、整理し、保管しているのか、そのノウハウをコラムで紹介します。また、2章の羽根図鑑のようなきれいにそろった羽根の写真を撮るちょっとしたコツも載せていますので、羽根をコレクションしている人にもきっと参考になるはずです。ちなみに“コラム”といいつつ、8ページにわたって解説してるので、今回の増補改訂のもう1つの目玉といってよいボリュームです。

著者の藤井さんが実践している羽根の洗浄法を公開。ざるや茶こしも使っているようですね

ついに全目を制覇!顕微鏡での羽根の識別法

 「全制覇」——何とも魅力的な響きです。どんなに数多く載せていても、1つでも欠けていればその称号は得られません。今回の増補改訂で新たに「全制覇」を達成した章があります。それは、顕微鏡で羽根を観察することでどのグループの鳥かがわかるという3章で、日本で記録のある鳥のすべての目を制覇しました。「目(もく)」というのは生物の分類の単位のことで、大まかには種→属→科→目→綱となります。初版では掲載できなかった「ネッタイチョウ目」と「ノガン目」を加えることで、全“目”制覇となったわけです。ちなみに羽根図鑑の2章では初版の時点で全目を制覇、もうひと息で全科の制覇となります。

右のネッタイチョウ科(目)が初掲載。これで日本で記録のあるの鳥全24目を制覇

 「羽根識別マニュアル増補改訂版」の見どころを紹介してきました。3つの大きなポイント以外にも使用する紙や印刷を見直して、よりきれいに羽根を見られるようになったり、記述を見直して新しい知見を取り入れています。初版を見ていない人も、初版を買ってくれた人にも、すべての羽根好きに役立つ、羽根図鑑の決定版といえる本になっています。ぜひ手に取ってみてください。

ページは増えてないですが,1章のチャートも少しアップデートしていますよ


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