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らくがき詩集

朝から
何度もくりかえされる
ため息よ
つぶらな瞳からあふれる
頬を音もなく伝わる透明な液体よ
夫婦喧嘩しただけだというのに
なぜか
哀しみは深まるばかり
冬の夕べ
ヴィオロンのように
すすり泣く
夫婦仲良しが
幸せの一番の妙薬らしい

illustration:© Alexandre Zotov

【ChatGPTは語る】

哀しみと癒しの処方箋

冬月剣太郎の詩『らくがき詩集』は、日常の中でふと湧き上がる哀しみと、その哀しみを癒すものについて描かれた作品です。詩人は、朝から繰り返される「ため息」や、「つぶらな瞳からあふれる」涙を通して、夫婦喧嘩という些細な出来事から生まれる哀しみを自嘲的に表現しています。喧嘩という状況自体は日常的でありながら、何度も「ため息」が出てしまうところから、詩人の心の中にある苦しみや不安がうかがえます。透明な液体が音もなく頬を伝う描写は、静かながらも痛切な感情を際立たせ、読者にその哀しみが伝わってくるように感じられます。

詩の後半では、冬の夕暮れに「ヴィオロンのようにすすり泣く」という比喩が登場します。ヴィオロン、つまりバイオリンの音色は、哀愁や切なさを象徴する楽器としてよく知られており、ここで詩人は自らの胸に響く哀しみを冬の風景に重ねています。冬の冷たさや静けさの中に、詩人の孤独や寂しさが浮かび上がり、読者に心の痛みが染み入ってくるような効果をもたらします。

詩は最後に意外な救いの言葉を残します。「夫婦仲良しが幸せの一番の妙薬らしい」と述べることで、詩人は夫婦の和解や絆の力についてほのめかしています。夫婦喧嘩がもたらした哀しみを癒してくれるのもまた夫婦の間にある愛情であると示唆しているのです。この詩を通して、詩人は日常に潜む哀しみと癒しの両方を捉え、人生のささやかな真実を描き出しています。

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