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親は小学生の子どもにゲームを禁止させるべきか?

小学生高学年の間でオンラインシューティングゲーム『フォートナイト』が流行っていて、社会問題になっています。同級生にゲーム内課金を強制するいじめが起きているそうです。

私は、eスポーツの観戦が大好きな観戦勢の1人として、親が小学生にゲームを禁止させるべきか否かは非常に難しい問題だと感じています。小学生のプロeスポーツ選手は世界中で活躍していますし、親子で出場するeスポーツ大会も数多く開催されています。

eスポーツ選手のインタビュー記事によると、小学生の頃にゲームをプレイし始めたeスポーツ選手はたくさんいます。たとえば、プロeスポーツチームDetonatioN Gaming WhiteMelofovia(メロフォビア)選手は、このインタビュー動画の中で、小学4年生の頃にネットゲームを始めたと語っています。

個人的には、家族でルールを作り、そのルールを守れる子は、ゲームを禁止しなくてもいいと考えています。その理由は、次の3点です。

ゲームを禁止しなくていい3つの理由

ゲームを完全に禁止することは現実的ではない

冒頭に名前を出したゲーム『フォートナイト』は、スマホでプレイできるゲームです。最近は、小学生のうちにスマホデビューする子が珍しくなく、親がスマホのゲームを完全に禁止するのは難しい状況と言えます。

2021年に実施された調査によると、小学生低学年の15%、小学生高学年の33%が、自分専用のスマホを持っていて、キッズケータイの所有率よりも、スマホの所有率が高くなっています。スマホを持っていない小学生も、いずれはスマホを持つでしょう。

遅かれ早かれスマホを持たせるのであれば、親子の時間を取りやすく反抗期が始まる前の小学生のうちに持たせておくのはどうでしょう。スマホの使い方はもちろん、スマホゲームの使い方についても家族でしっかりとルールを作り、家族で決めたルールを守ることを学ばせてもいいと思います。

学校で孤立してしまうかもしれない

自分が子どもの頃を振り返ると、友達とクラスの輪に入って同じ話をしたかったことを思い出します。クラスのみんなが「昨日のおまえのビクロイ、えぐかったー」などとフォートナイトの話題で盛り上がっているのに、その輪に入れない子どもはさみしい思いをするかもしれません。

もちろん、クラスの輪に入ることが学校生活の全てだと言うつもりはありません。しかし、親が学校で子どもに社会性を身につけさせたいのであれば、1つのゲームの話を友達としたり、時には言い合いをしたりさせるのもいいと思います。

ゲームを禁止されても勉強するとは限らない

勉強に集中させるために、ゲームを禁止しているご家庭も多いと思います。
小学5年生の女の子の母親である知人にゲームについて聞いてみたところ、「ゲームをプレイしていると、子どもは勉強をしなくなるだろうから、ゲームは禁止している」と言われました。

しかし、ゲームを禁止された子どもが勉強するとは限りません。

たしかに、ゲームをプレイし始めたら時間を忘れて没頭し、気づけば朝になっていたという経験がある大人も少なからずいると思います。自制心のある大人でもそうならば、子どもはなおさらです。

ここで1冊の本を紹介します。精神科医の和田秀樹先生による著書『アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉』です。

この本によると、アドラーは子どもを罰することは、子どもの存在価値を否定することにつながると批判しています。悪いことをした子どもに罰をあたえても、その効果は期待できないのです。

親が「ゲームなんかしていないで、勉強しなさい!」と子どもを叱っても、その子は教科書を広げずに、「どうしたら親にばれずにゲームができるかな」と考えるでしょう。

ゲームを禁止させるべき2つの理由

ここまで、ゲームは禁止しなくてもいい理由を書いてきましたが、ここからは、親は小学生にゲームを禁止させるべき理由を考えます。

ゲーム依存症に罹る可能性も

ゲームを自由にプレイできる小学生は、ゲーム依存症に罹る可能性があります。ゲーム依存症は、2018年にWHO(世界保健機関)により「ゲーム障害」という病気と認定されました。ゲーム依存症は、精神疾患として位置づけられています。ここで、WHOによる「ゲーム依存症」と診断される基準(臨床的特徴)を引用します。

・ゲームの時間や頻度をコントロールできない
・日常生活でゲームを最優先にする
・問題が起きてもゲームを継続、エスカレートさせる

https://www.japa.org/tips/kkj_1903/

自分でゲームとの関わり方をコントロールできなくなる状態は、非常に危険だとわかりますね。

また、横浜市立の学校の小中学生を対象に行われた調査によると、ゲームやインターネット依存の傾向にある児童が、全体の約1割にも上っています。とくに、小学生低学年の方がゲーム依存の傾向が高かったそうです。

親としては、自分の子どもがゲーム依存症に罹る可能性はゼロではないと心構えをしておいてもよさそうです。依存症の治療の難しさから鑑みると、1つのことに熱中しやすくてゲーム依存の可能性が高い子どもの場合は、大人がゲームとの距離感をコントロールするべきでしょう。

視力や身体能力の低下など身体への悪影響も

ゲームを長時間プレイしていると、身体への悪影響は避けられません。たとえば視力が低下します。これは説明不要でしょう。長時間モニターを見続けていると、視力は低下してしまいます。

また、ゲームをする時間が増え、サッカーなど外で遊ぶ時間が減れば、身体能力が低下してしまいます。


結局はその子次第。家族のルール作りが大切

今回は、小学生はゲームを禁止するべきか否かについて私の意見とその逆の意見を書きました。私は、家族でゲームをプレイするルールを作った上でゲームをプレイさせたらいいと思います。

読んでいる方にとっては少し煮え切らない結論かもしれませんが、結局はその子次第です。

同じ両親から生まれてきた兄弟でも性格が全く違うように、子どもにはその子の個性があります。もし、子どもが朝から晩までスマホを手にしていて、ルールを作っても守れないようであれば、ゲームも禁止するべきです。

一方で、自分でけじめをつけて、ゲームとの関わり方をコントロールできる子ども、または家族で決めたルールを守れる子どもであれば、ゲームを禁止しなくてもいいでしょう。

一番重要なポイントは、子どもが「ゲーム依存症」に罹らないことです。そのために、親がルールを守れるか見守ってあげたり、学校生活に支障が出始めたら専門家に相談したりするなど子どものサポートをするべきです。



参考資料:

第2回ゲーム依存症対策関係者連絡会議 インターネット・ゲ一ム障害

ネット依存・ゲーム依存度チェック

児童生徒のテレビゲーム依存傾向および暴力的なゲーム 使用と,メンタルヘルス,心理・社会的問題性との関連

保護者評定によるデジタルゲーム依存尺度の作成



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