「ゲームを好きでもいいですか」『バイオ4』で変わった私の人生
「ゲームを好きな自分は、ダメな人間なんだ」
私は昔、こんなことを思っていた。
ゲーム禁止の家庭で育って
私の家ではゲームが禁止されていた。そのため、小学生の頃はテレビゲームを持っている友達の家に遊びに行っては、友達がゲームをする様子を隣で観ていた。
中学校と高校の6年間、私は勉強や部活でとても忙しかったので、ゲームへの関心は自然と薄れていった。大学に進学してもその忙しさは変わらなかった。ゲームを持っている友人とその友人の部屋でたまにゲームをする程度だったと思う。
そんな私がドハマりしたゲーム。それが、『バイオハザード4』だった。
『バイオ4』の2つの魅力
『バイオハザード4』(以下『バイオ4』)は、2005年にカプコンから発売されたホラーアクションゲームだ。プレイヤーは主人公レオンになって、いろんな敵を倒しながら大統領の娘アシュリーを救い出す。
アクション映画の主人公になった気分
私は子どもの頃、父が好きな『007シリーズ』や『ターミネーターシリーズ』などのアクション映画を2人でよく観ていた。主人公が銃を撃って悪と戦う姿がとてもかっこよくて、夢中になった。
『バイオ4』をプレイしながら銃を持って敵を倒しヒロインを救っていると、私はアクション映画の主人公の気分になれた。コントローラーを両手に持って画面に映るエージェントであるレオンを操作していると、「画面の中のヒーローを私が動かしている!」と胸が高鳴ったものである。
ミステリーの謎を解く探偵になった気分
また、『バイオ4』はただ銃を撃つだけのゲームではなく、謎解き要素もある。プレイヤーは、水晶を回してドアの鍵を開けたり(村長の家の鍵が謎ってセキュリティ的にどうなの?)、石版のパズルを解いたりしなければならない。
私は『名探偵コナン』や『金田一少年の事件簿』、宮部みゆきや山村美紗などのミステリーに囲まれて育った。村長の家のセキュリティ問題はさておき、『バイオ4』の謎解き要素に、私のミステリー好きの好奇心が強くくすぐられたのである。
『バイオ4』のゲーム実況の魅力
私がちょうど『バイオ4』にどハマりしていた頃だっただろうか。『バイオ4』のゲーム実況が一大ブームになっていた。『バイオ4』の実況動画や生配信には、『バイオ4』を好きな人が集まっていた。実況者は、私が想像もしなかったプレイスタイルで敵を倒していく。
私は無我夢中で観まくった。当時ニコニコ動画でアップされていた『バイオ4』の実況シリーズは、ほとんど観たし、特にお気に入りの動画は何周も繰り返し観た。今でもたまに観ている。
『バイオ4』の実況愛については、以前別の記事に書いているので、今回はこのへんでやめておこう。
夢中になりつつも複雑な思いも
ゲームは禁止されていたのに
『バイオ4』に夢中になる一方で、私は父に対する後ろめたい気持ちを感じていた。私は父に禁止されていたゲームをしている。ゲームなんてしたらダメなのに。
親に禁止されたゲームをしている自分は、ダメな人間なんだ。
そんな気持ちをずっと払拭できずにいた。ゲームが好きだなんてなかなか他人に言えなかった。
私は父親っ子で父が大好きだったから。
だからこそ、大好きな父が決めたルールを守っていない自分をものすごくダメな人間のように感じていたのである。
ゲーム好きでもいいのかも
しかし、たくさんのゲーム好きの視聴者の人たちと一緒に『バイオ4』の実況プレイを観ていると、私のゲームに対する考えが少しずつ変化していった。
『バイオ4』のゲーム実況を観れば観るほど、私は『バイオ4』のさまざまな魅力に気がついた。多様なキャラ設定、分かりやすく飽きさせないストーリー展開、プレイヤーに優しい操作性、豊富なやりこみ要素…。
そして実際にこんなにも多くの人を虜にしている。こんなに面白くて細部まで作り込まれたゲームを好きでいてなんで悪い。悪いわけがないだろう。映画やドラマ、小説や漫画と同じではないか、と。
ゲームを好きな自分が悪いのではない。まして、ゲームが悪いのではない。仮に問題があるとしたら、それはゲームそのものではなくゲームとの付き合い方、生きる上での優先順位の付け方なのだ。
『バイオ4』のゲームとしての完成度の高さと、『バイオ4』と私の小説や映画などの好みとの親和性が、父に植え付けられた「ゲームは悪いもの」という固定概念を取り払ったのである。
「ゲームを好きな自分は、ダメな人間なんかじゃない」
私は今、心の底からそう思っている。
私のゲーム好きとして、eスポーツ観戦勢として、そしてゲームやeスポーツ関連のお仕事をする者としての原点は、『バイオ4』にある。
私は、大人になってから気づいた。
夢中になれるものに出会えることは素敵なことなんだ。
私はゲームがあるからこそ、素敵な人生を送っているんだ。
このnoteは、ゲームとことば Advent Calendar 2022の企画で書きました。主催者のReimondさん、ありがとうございます!
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