「今、SF読んでる!」という充足感が味わえる、50年代SFの佳作⭐
「#アジャストメント」の本編と「#マイノリティリポート」のメイキングを見た。
「マイノリティ·リポート」のスピルバーグ監督は多分原作が脚本化された段階から読んでいるらしいが、ディック世界が工夫され映像化される面白さがあった。
(ちなみに脚本を持って来たのはトム・クルーズ)
同じディックの「#変数人間」を読みながら、脚本家と監督目線で脳内映画に変換して楽しんでいる。
「変数人間」は、そこそこ長い中編で、SFガジェット満載な割に映像化されていない、という手付かずの二次創作フロンティアなのである。
ディックSFと映画の親和性は、エグい程のフィット感があるのだが、その考察も今度してみたい。
(親和性と共に、「この原作を映像化してみたい」という二次創作欲を映像作家に掻き立てる誘引力もエグい)
余談だが、「マイノ~」のメイキングで、トム・クルーズが「ジョーズ」の映像に度肝を抜かれた話や、家族で「ET」を見た話をキラッキラの眼で語ってくれていたので、「あぁ、この人、根っからの映画小僧だったんだなぁ……」と彼のルーツが分かった感じがして微笑ましかった。
洋画のメイキングって、本編にはない生々しさがあっていいですね。
本筋に戻ります。
さて「変数人間」であるが、この小説には、かの有名な「宇宙船ビーグル号の冒険」や「非Aの世界」を書いた、A·E·ヴァン·ヴォークトの影響があるそうである。というか、ヴォークトの上位互換みたいな感じらしい。
あれほど、個性の固まりみたいに語られるディックにも、師といっていい先達がいたことが、なんだかホッコリする。