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谷口一平氏に対する謝罪および該当記事の訂正等について――媒体より説明

 中沢忠之

 「文学+WEB版」の責任者です。
 谷口一平さんから掲載記事に対し抗議がありました。そこでご指摘いただいた問題の経緯を媒体から説明し、あわせて謝罪をさせていただきます。
 最初に小峰さんから「『情況』編集部は、いかなる意味で「卑劣」か?」をご寄稿いただきました。ヘイトの問題を扱っていますが、特定の人物を差別等しているわけではないと判断し、公開としました。その後、「トランスヘイターと目されている」に関して谷口さんから「根拠がない」(ゆえに「風説の流布」となっている)等とする抗議(Xのポスト)がありました。私は小峰さんと話しあいを持ち、根拠を示した方がよいということになり、小峰さんから「(谷口さん論文に対する)査読者のコメント」を根拠とする応答(「私の防衛線」)をいただき、公開しました。私はこれを根拠に足ると判断したわけです。当該応答を受け、谷口さんから詳細な再抗議がありました(「ヘイター認定の自由こそ基本的人権なのか」、note「谷口一平@独立哲学者」)。この抗議を読み、当該根拠に不備があると考えなおしました。
 結論は、「査読者のコメント」では「~目されている」(原文は「「トランスヘイター」とトランス当事者やトランスジェンダーアライからみなされている」)の根拠に相当しない――したがって、根拠はない、です。「~目されている」は誤りであり、訂正いたします。かりにいくら部分を追加したとしても根拠にはならないし、トランス当事者らを勝手に代行することにもなります。早くに気づくべきでした。
 媒体としましては、何より「風説の流布」になるとする谷口さんの危惧を重く受け取らないといけません。そのような意図がないとはいえ、文章全体がもつ効果・影響には慎重であるべきでした。ウェブであればなおさらのことです。私の判断により、谷口さんにはこの間大変な不安と不快な思いをさせてしまいました。まことに申し訳ありませんでした。

 特定人物の言葉を差別とするには相当の根拠が必要だということはわかっていたものの、「(誰かに)目されている」といった間接的な評価に対しては、私の認識と判断が甘かったといわざるをえません。

 具体的な対応は次の通りです。「『情況』編集部は~」と「私の防衛線」の二記事から、「~目されている」およびそれを前提にした箇所を、小峰さんとの協議の上、削除・訂正させていただきました。(緊急的に17日から該当部分を読めないようにしていました。具体的には「私の防衛線」を下書き状態に変更、「『情況』編集部は~」はnoteの仕様で下書きにできなかったため、全体を定期購読者にしか読めない状態にしつつ該当箇所は削除)

 以上になります。
 媒体はしょせん場所を設けることしかできませんが、とうぜん透明ではなく、いろんな力の作用が発生するでしょう。それでもなお、ここなら大丈夫と信頼して投稿していただき、なおかつ、批判・議論(ときには悪罵)を歓迎しつつも、誰かを不当に傷つけることがないよう配慮をすることが最低限求められると考えています。このたびかほどにナイーブな問題にもかかわらず、十分な配慮ができず、その前提すら設けられませんでした。小峰さんには適切な介入を怠り、そして何より谷口さんを不当に遇してしまいました。お二人に深くお詫び申し上げます。

▶「文学+WEB版」編集・中沢忠之

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