地方文学賞の賞金で文芸同人誌をつくる(最終回)
『巣』が連れていってくれたところ なかむら あゆみ 5月中旬、年賀状が届きました。いや、「書き損じの年賀ハガキ」と言った方がいいかもしれません。差出人は糖尿病の治療を受けながら施設で暮らす義母。年賀状は出さない人だから「誰にこのハガキ貰ったんやろ?」と思いながら裏返すと、(誰かが書いた)「あけましておめでとうございます」の上にためらうことなく引かれた三重線。その横に丸い先の鉛筆で書いた義母の字がありました。「りんご、乳ぼーろ、ぎゅうにゅう、うぐいすボール、みっくちゅじゅーち