2022年10月の記事一覧
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追悼 ジャン=リュック・ゴダール『映画作家ゴダールは、その「特権性」を晴れやかに誇示しながらこの世界から姿を消した』蓮實重彥
ゴダールという名前を耳にして反射的に記憶に甦ってくるのは、三つの断片的な光景である。まず、1962年初冬にパリについてあまり時間のたっていない冬の夕方、サン・ミッシェル大通りとサン・ジェルマン大通りが交差するあたりのちっぽけな小屋で『カラビニエ』(1963)を見たときの寂れた光景は、とうてい忘れることができない。まばらな客席を見まわしながら、『勝手にしやがれ』(1960)で観客を魅了した監督の新作が決定的に無視され、あまつさえ軽蔑さえされていることが腹立たしくてならず、これ