まるかみふるき|読書とエッセイ

社会人。労働の余暇に、読書感想文とエッセイを投稿しています。

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最近の記事

30歳からのミッドエイジ・クライシス

「それ、ミッドエイジ・クライシスってやつ?」 と、人に言われてハッとした。 そうか、これがいわゆるミッドエイジ・クライシスってやつなのか? 30歳になり、焦り始める 私は今年で30歳になった。30歳になって突然何かが変わったわけではないけれど、自分の中で「俺は30代なんだ」という自己認識が芽生え、そして30代であるということの意味を考えずにはいられなくなった。 30歳ともなると、20代のうちに取り組んでいたことである程度の実績を得ている人、漫然と歳をとりただ30歳に

    • 藤本タツキ『ルックバック』を観て、絵が好きだったことを思い出す

      『ルックバック』を映画館で視聴中、私も絵を描くのが好きだったな、と懐かしい気持ちになった。 だけど懐かしいだけじゃない。すっかり忘れていた、絵を描いていた頃の記憶がゆっくりと脳裏に浮かんできた。 そう、昔から絵を描くのが好きだった。小学生の頃、くだらない落書きをして、クラスメイトや先生や親に笑ってもらえるのが嬉しかった。 それは、上手い絵ではなかった。絵が上手いか下手かで見て欲しかったわけじゃない。何かを思いついて、それを絵にして、誰かが見て笑ってる。それが愉快なだけだった

      • 30代男性の片想いメモ 1

        タイトルを書いてみて、キモいと思う自分がいた。 そしてまた一方で、事実なのだから仕方がないとも思う。 ここから私の内面について記述していくが、おそらくタイトルどころではないくらい気持ちが悪い、露悪的なものになるだろう。 ぜひ、引き返してほしい。でも読んでくれたら、優しいコメントをぜひください。 始まり 私の場合、大体恋愛状態に陥ると、次のような症状が出る。 ここ最近、まさに上記の三症状が顕れているので、ああ、今恋してんだなと確信したところである。 大体において、ろくな

        • 孤独を癒すために高い塔に登る

          時刻は午前2時、私は卒業論文を書くために資料を机の上に並べ、キーボードを叩いていた。 この研究に先行きがあるのか、それはわからない。どうせたかが卒論だ。大学院に進むわけでもないのだし、ただ教授が考えるボーダーラインさえ越えれば、そこから先のことには意味はない。 そのことが最もモチベーションを奪っているのかもしれない。 教授はこの広大な森を歩き、成果を持ち帰ってこいと言う。私たちは貧弱な装備で無闇に歩き回り、訳のわからないルートをせっせと作っては地図に起こし、その先に何もないこ

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        • エッセイ
          4本
        • 読書
          2本
        • 創作
          1本

        記事

          何をしても「良い」とも「悪い」とも評価されない職場

          20代も終わろうとしています。 目下最大の悩みは「今の仕事を続けてていいのかな?」という問いです。 なぜそのような問いが生じるのか 今の会社に勤めて7年が経過しました。 その間、私は私がしたことに対して、一度も評価を得たことがありません。 「評価を得たことがない」というのは、「ダメだ」とか「よくない」とかいう意味ではありません。良いとも悪いとも評価されないのです。評価を下す仕組みがないのです。 私は私なりに会社にとって良いことをしてきたと思っています。例えば、担当事業の

          何をしても「良い」とも「悪い」とも評価されない職場

          「私ブスだから」と話す女性、不幸を列挙するSNSアカウント

          「私ブスだから」と話した女性 その人は「自分に自信が無い」と常々口にしていた。 正直、一緒にいてちょっとうんざりするくらいだった。二言目には「私なんて……」と自分のネガティブな側面しか目に入らないようなことを言い、私や周囲の人が肯定的なことを言っても彼女の耳にはどうやら入っていかないようだった。 ある時雑談していると「私ブスだから」家の外に出るのが嫌いだと彼女が話したので、私は「あなたは全然ブスじゃないと思うけど、自分では自分のことブスだと思うのか」と訊いた。 すると彼女

          「私ブスだから」と話す女性、不幸を列挙するSNSアカウント

          タリーズでフラれた一週間後の話

          地の底でかろうじて生きる 鬱的な気分に襲われ始めて以降、特に辛いのが朝目が覚めた時でした。目が覚めて、また眠りにつくまでの長い長い、意識のある時間が辛いのです。 ドラッグの依存症はこのようなものかもしれない、とこの時考えていました。 スマホの通知、アップルウォッチの振動、彼女を視界にとらえること、彼女の声を耳で聞くこと、あらゆる彼女にまつわる刺激に対し、私の脳は脳内麻薬的な強烈な快感を覚え、パブロフの犬よろしく学習してしまったのです。 そしてそれが完全に遮断された後の感

          タリーズでフラれた一週間後の話

          タリーズでフラれた翌日の話

          この記事はタリーズでフラれた話の続きになります。 突然泣き出すようになる 彼女にフラれたその日、私は落ち込むどころかむしろテンションがハイになっていました。タリーズを去り、一人になった後も、どこか非現実的な気分で車を運転し、帰路につきました。 自宅に車を停めた後、私はそのまま車の中でSNSのボイスチャットを始めました。匿名で、誰でも出入り可能な通話アプリとでも思ってください。 そこで「フラれたばかりの男」みたいなタイトルの部屋を作り、ことの顛末を話しました。とにかくすぐ

          タリーズでフラれた翌日の話

          タリーズでフラれた話

          当日 2023年12月12日(火)、私は彼女に別れ話を切り出されました。場所はタリーズで、時刻は19時前後。仕事帰りに会う約束をしていたのでした。 思い返してみれば、店の前で彼女と顔を合わせた瞬間から、彼女のテンションは低く、元気がない様子でした。私は仕事で疲れているのかな、というくらいにしか思いませんでした。 席についてコーヒーを飲みながら話しましたが、彼女は言葉少なで、なんとなく間がもたない息苦しさを感じました。別に、いつも元気におしゃべりをしてないといないというわけで

          どうせ死ぬ三人#042【水野氏ゲスト回】を聴いて思うこと。あるいは考えること

          これは、Spotifyで配信されているPodcast「どうせ死ぬ三人」#042優秀なAIに仕事を奪われた三人【四人目:水野太貴氏】を聴いた感想である。 先に申し上げておくと僕は「ゆる言語学ラジオ」のTシャツも「どうせ死ぬ三人」のTシャツも購入しているくらいには両番組及び両番組の出演者が好きで応援している。 通勤に片道1時間程かかる生活を送っているので、通勤中をどう楽しく過ごせるかがQOLに非常に大きく関わっている。そのような中で、これらの素晴らしいポッドキャスト番組との出会

          どうせ死ぬ三人#042【水野氏ゲスト回】を聴いて思うこと。あるいは考えること

          現代の新しい呪いの言葉「自分の機嫌は自分で取れ」について思うこと

          この言葉には、他者を突き放す冷たさを僕は感じる。自分の進む道の先にいて邪魔だと思った人をなんの躊躇もなくどんっと突き飛ばすような。 とはいえ、この言葉に共感できないわけではない。 確かに、シチュエーションを考えると同意したくなることもある。 例えば、 こんな場面を想像すると、よくわかる意見だなあと思う。 同じようなシチュエーションは身に覚えがある。いつもの会話のつもりで冗談を言ったら、ちょっとキレられたりとか、そんなバリエーションもある。それであっ、こいつ今日機嫌悪いじゃ

          現代の新しい呪いの言葉「自分の機嫌は自分で取れ」について思うこと

          文章を書く人には絶対におすすめしたい本 『言語表現法講義』加藤典洋

          僕が映画館に行ったり、本を開いたりするのは、誰かに僕の頬を引っ叩いたり、頭をぶん殴ったりして欲しいからだ。 普段の生活を送る中で得られる視野は恐ろしく狭い。狭いということにすら気がつけない。 物語や知識は、全然違う世界を見せてくれる。ここでいう「違う世界」というのは、フィクションとか、いわゆる現実を忘れさせてくれる幻想というような意味ではない。まさに自分が生きている世界であるにも関わらず、そのことに気づいていない、そんな世界のことを指す。 日々を生きる中で感じることは、そ

          文章を書く人には絶対におすすめしたい本 『言語表現法講義』加藤典洋

          批判的な考えや意見はスラスラ出てくる!

          批判は簡単に出てくるぜ noteやtwitterに文章を投稿するとき、否定的なことはできるだけ言うまい、という信念を持っている(あるいは持っていた(いや、元々別にnoteでもtwitterでも発信する頻度は高くないのだが……))。 なぜそんな信念を抱いているかというと、それを目にした他人を傷つけたり不快な思いをさせたりする可能性が高いからだ。 もちろん、肯定的な意見も誰かを不快にさせることはある。例えば、その人が大嫌いな人を僕が褒める文章を書いているのを目にしたら、「な

          批判的な考えや意見はスラスラ出てくる!

          読書記録『異常(アノマリー)』エルヴェ・ル・テリエ

          はじめに こんにちは、まるかみふるきと申します。 今日はフランスで110万部以上売れた大ヒット小説、『異常(アノマリー)』について語ります。 はじめに申し上げておくと、筆者は読解力不足や器量の小ささのせいで、この作品を楽しく読むことができませんでした。従って以下に記す文章は、この作品をすでに読んでおり、しかもこの作品が好きだという方には不愉快なものになる可能性が高いため、その点を大目に見ていただければ幸いです。 また、未読の方へ、当記事には作品のネタバレが含まれています

          読書記録『異常(アノマリー)』エルヴェ・ル・テリエ

          アンディ・ウィアー『火星の人』に見る人間讃歌

          ※『火星の人』および映画『オデッセイ』のネタバレを含みます。 つい先日、アリストテレスを読む!と意気込んでおきながら、アンディ・ウィアーの『火星の人』を読んでしまった。 もちろん『ニコマコス倫理学』は並行的に読み進めているのだが。 果たして一体何故なのか、「これを読まなきゃ」と思えば思うほどよそ見をして他の本に手を伸ばしてしまう。 しかもこの状況下での読書がよく進むこと進むこと。脇道読書が一番集中できるのは実に不思議だ。 『火星の人』と言えば、2015年にリドリー・スコ

          アンディ・ウィアー『火星の人』に見る人間讃歌

          いつか読もうと思ってずっと読まずにいた本を読んでみる

          ついに、と言うべきか、アリストテレスの『ニコマコス倫理学』を読もうと思っている。 そういうわけで今回は「読もう!」と思う気持ちをnoteにしたためている。いいからさっさと読めよ、と言いたくなるが、「読みたいと思っているのに読んでない状態」について言語化しておきたいと思ったのだ。 難しそうだなあというイメージと、本の分厚さからこれまで読まずにきた。 手にとってチラッと目を通したことはあるが、すぐに読むのをやめてしまった。文字を目で追っても意味が入ってこない。難しげな本を読む

          いつか読もうと思ってずっと読まずにいた本を読んでみる