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【プロダクトマネジメント】優先順位付けの方法論

プロダクトマネージャーのみならず、事業において重要な優先順位付け。
もし優先順位付けに課題を感じているのであれば、そもそもの順位を付けるための「目的」や「基準」、またその順位付け対象の「項目」に分けて考えるべきだよねという内容について書いてみました。
5分以内で読めるライトな記事です。何かの参考になれば幸いです。

どうも、ぶんたです。(@bunbuno0
音声プラットフォームのプロダクトVoicyのPMをしています。

今回は、プロダクトマネージャーにとって非常に重要な優先順位付けの話を書いてみたいと思います。ロードマップや施策の優先順位付けなど、PMは常に考える部分ですよね。

この優先順位付けをどのように行うのが良いのか、またその考え方や整理の仕方について考えてみました。


「優先順位を付ける」ということ

まず、優先順位を付けるということは
「何かの目的に対して、何かの基準を持って、複数ある項目や活動を相対的に重要な順番に並べること」
と定義してみます。

優先順位を付ける意味は、何か成し遂げたいことに対して、より速く・より良い結果を得られるために整理して順番を並び変えることなので、
当然順番さえ付ければOKというわけではなく、より良い結果を出すために精度の高い項目を上位に持ってこれるようにしないといけません。

相対的であるからこそ、「項目」に目が行きがちなのですが、"そもそも何に対しての優先順位を付けるのか?"という目的が常に重要視され続けるべきなのです。
当たり前のことなんですが、実はここが見落とされて"より良い結果を出すための順位"が付けられないことが多いように思います。

だからこそ大事なのが、「目的」→「基準」→「項目」という流れがあってこそ優劣をつける対象を決められるということを意識することです。目的が無いとそもそも何に対しての精度を上げていくのかを定義できませんし、基準が無ければ相対評価もできません。

なので、優先順位付けがうまくできず悩ましい時は、この3つの階層を意識して以下のような内容を疑ってみるのが良いかもしれません。

①何の優先順位を付けるかの「目的」がブレている
②どうやって優先順位を付けるかの「基準」がブレている
③相対評価するための「項目」の検討が足りてない

優先順位で悩ましいポイントは結構この③を意識してしまうことも多いと思いますが、実は①②の課題の方が大きいことが多いんじゃないかと思ったりします。
また、この①②③は常に行き来してブラッシュアップを行い、より精度の高いリストを作ることも大事ではないかと考えています。

この「目的」や「基準」を確立することは、「項目」を相対的に選ぶための絶対的な指標を作るということなのだと思います。

だからこそ、この記事では「目的」や「基準」をどう確立するかについて、焦点をあてています。


目的の確立

優先順位付けを行うための最上流の「目的」は一番重要な要素です。
そしてその「目的」にもさまざま粒度があります。

例えば、まだアーリーステージのスタートアップなどは事業の目的や戦略が確立されていないこともあったりする中で、何を作っていくかの優先順位を決めるのは非常に困難です。

だからこそロードマップを考えたりタスクの優先順位を考える前に、戦略や目標などがしっかり確立されているかを検討したり、理解をしたりする必要があります。以下の記事はその観点で参考になります。

・ミッション → ビジョン →戦略→ 目標 → ロードマップ

ミッション: 私たちは何を達成しようとしているのか?
ビジョン: 私たちがそれを達成したとき、世界はどのように見えますか?
戦略: どうやってそれを達成するか?
目標: それに対する進捗状況をどのように測定しますか?
ロードマップ: そこに到達するために何を構築する必要がありますか?
タスク:次に取り組むことができる 1 つの作業単位は何ですか?

「優先順位付けは、ミッション/ビジョンに根ざした戦略から得られる目標/KPI によって推進される必要があります。すべてはつながっています。」

この戦略が確立されている状態で、ロードマップやタスク単位でやるべきことを考え、優先順位を付けていく。この工程が非常に重要なように思います。

また、戦略が確立されている上でロードマップやタスクの優先順位が決めきれない場合は、ユーザーやその市場の解像度が低いということも考えられます。
その場合は、ユーザーヒアリングやデータ分析を行なったり、以下のようなフレームワークを利用して"何が課題か?何が価値か?"を言語化・可視化して整理してみても良いかもしれません。

これも何に対しての優先順位を付けるか?の「目的」の部分を深める活動ですね。

そしておそらく、「目的」も小さい粒度だとさまざま出てきます。
課題Aに対する解決策A1、A2、A3…
課題Bに対する解決策B1、B2、B3…
課題Cに対する….
という形で。その目的に対しての優先度を付ける必要も出てきます。

その課題ABCの優先度を決める上でも、より上流の戦略やビジョンなどの絶対的な基準を元に決めていくとブレることはありませんよね。
だからこそ上記のようなピラミッドの内容の確立が一番重要だということです。

「項目」の精査だけに囚われていると、こういった課題に対する解決策の目的が違うことにも気付きづらかったりします。
何に対しての優先順位を決めるかという部分は常に意識しておく必要があります。


基準の整理

では目的が確立され、優先順位を決められる状態にある場合、どうやって順位を決めるのか?については、便利なフレームワークがたくさん出ていますので、ここでは代表的な4つを紹介しておきます。
他の記事で書かれたものの方がより分かりやすいと思うので、参考情報としてリンクだけ掲載しておきます。

RICEフレームワーク

MoSCoW

狩野モデル

WSJF

これらのフレームワーク全体的にいえることが、工数に対してのインパクトから優劣を付けていくことを意識しているように思えます。

ただやはりこの"インパクト"も、何に対してのインパクトかをしっかり確立するために「目的」部分をしっかり整理した上で基準を作らないと、誤った順位を付けてしまう可能性が高くなってしまうため、
何に対しての優先順位付けをするのか?がやはり大事なように思えます。

また、フレームワークは便利で自分の思考の整理や他者に対して納得感を持たせるために利用するには有用です。
ただし、"何となくやった感"が出るので、無駄にここの精度を高めようと時間を使ったりするのは、時間の無駄になりやすいので注意が必要です。

ガチガチにロジックを組まないと優劣が判断できないようなものは、そもそも「項目」の内容が不十分か、「目的」がブレている可能性もあるので、あくまで"有効に使える"程度に考えておくことをおすすめします。

さいごに

優先順位をつけるということは何かを拾い、何かを捨てることです。
たぶん人間って何かを捨てることを恐れる傾向にあるのかもしれませんが、捨てることって非常に重要ですよね。

限られた時間やリソースの中で、成功確立を上げていくためには優先順位付けがとても大事です。
ただそれは相対評価になるので、その評価をする対象の精度を上げていくために前段の「目的」と「基準」が重要になるというお話を今回は書いてみました。

今回はより上流にフォーカスを当てましたが、それらが固まっている前提で「じゃあ具体的にどうやったらいいの?」に関しては以下記事が非常におすすめです。
現場目線での「戦略策定→優先順位決定→実行」までの具体的な考え方が書かれています。


それでは最後にGoogleやTwitterでPMとして活躍したShreyas DoshiさんのTweetをご紹介します。

2000 年のシドニー オリンピックで、イギリスのボートチームは周囲の予想に反して金メダルを獲得しました。
1 つの簡単な質問が、彼らの成功に役立ちました。
「船は速くなるの?」
この質問は、初期段階のチームや会社にとっても重要です。

その英国チームに所属していたベン・ハント・デイビスは、オリンピックのトレーニングを通じてこの質問を使用することで、驚くべき (そしてありそうもない) 偉業を達成したことを共有しました。
ほとんど何かをする前に、彼らは自分自身とお互いに尋ねます。
「ボートは速くなるの?」

「このワークアウトを 70 分間行う必要がありますか?」
それはボートを速くしますか?
「今夜はパブに行きましょうか?」
それはボートを速くしますか?
「このルーチンを変更する必要がありますか?」
それはボートを速くしますか?
「朝食に卵を食べるべきですか?」
それはボートを速くしますか?

この1つの質問は、達成不可能なことを達成するために必要な非常に明確で集中力を彼らに与えました. あなたがアーリーステージのチームや会社にいるとき、オッズはしばしばあなたに対して積み重ねられます. そして、オッズを有利に変える最善の方法は、目的を明確にし、絶え間なく集中することです。
この質問は、私がこれらのチームのリーダーとして成功を収める上で大きな役割を果たしてきました。

これは「目的」を絶対的なものとし、全ての行動において「1つの目的」ベースで常に優先すべきかどうかを判断して成功したという事例になると思います。

事業において、様々な成功に対しての変数が出てきて、短期的に緊急度の高い(ように思える)項目はどんどん積み上がっていきます。
上記のように1つの問題に絞って、それだけを取り組むのは現実的にはとても難しいところではありますが、これをやり遂げられるかどうかが成功の可否を分けるのだろうなと思ったりします。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
プロダクトマネジメントに関する記事を書いたりしているので、他もよろしければご覧ください!

Twitterでも発信していければと思っています。

また、私が所属するVoicyは音声という領域で社会や未来を変えていくことに挑戦している会社です。
プロダクトマネジメントをしていくことにおいても、とても魅力的なサービス・会社です。以下採用ページで会社の雰囲気や事業内容が分かりますので、興味あれば是非ご覧ください!


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