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【Appleが認めたアプリ外課金】これまでの経緯と今後の開発者やユーザーに与える影響について考察

どうも。様々なプロダクトの調査・考察・分析をしています、ぶんた@プロダクトおじさんです。

今回は、8月に発表があった「アプリ内に外部サイトへのリンクを設け、課金の際、アップルへの手数料支払いを回避することを認める」について、これまでの流れをまとめ、今後考えられる影響などを考察してみました。

アプリストアという点でいうと、AppleのAppstoreとGoogleはGoogle playストア2つあり、GoogleはAppleと違ってサードパーティ決済やストア運営を認めているため、若干経緯や流れが違う部分もあるので、Appleを中心に考察できればと思っています。
(ただ対応としては結構Appleに追随している感じはする)

外部サイトでの課金が許容されるまでのこれまでのおおまかな流れ

2020年8月:Epic Gamesは『フォートナイト』にApp Storeの支払い方法を迂回できるようにする独自の決済システム「Epic direct payment」を導入するも、規約違反としてApple・Googleから規約違反として、ストアからアプリが削除される(引用

2020年8月:Epic GamesはAppleが独占禁止法に反しているとして、即座にカリフォルニアの連邦地裁に対し訴訟を起こす(引用
※このときEpic Gamesが作成したAppleを批判するパロディも公開。下部参照。

2020年11月:米Appleは11月18日、年間収益が100万ドル以内の小規模事業者に対するApp Storeの手数料率を従来の30%から15%に削減する「App Store Small Business Program」を発表(引用)(Googleもその後つづく)

2021年8月:「アプリストア規制法」がアメリカ上院に提出される(引用

2021年8月:米Appleは8月26日(現地時間)、2019年6月に複数の米開発者が集団訴訟として行った訴訟で和解に達したと発表。(引用

Appleは、手数料体系や他のアプリストアの使用禁止などでは譲らなかったが、以下の項目を提案した。
・開発者が、App Store以外での支払いオプションについてアプリユーザーと直接やり取りできるようにする
・中小企業への手数料を下げるプログラムを向こう3年間は維持する
米国の小規模開発者向けに1億ドルの基金を設立する。開発者の規模に応じて250ドル~3万ドルの範囲で支援する
・App Storeの検索結果が客観的な基準に基づいていることを確認する
・アプリの価格設定を、現在の100未満から500以上のオプションに増やす
・App Storeから削除されたり登録を拒否されたりしたアプリの数などに関する透明性レポートを発効する

2021年8月:韓国の議会はアプリストア運営企業が独自の決済システムのみの使用を強制することを規制する法案「電気通信事業法の一部改正法律案」を承認。(引用

2021年8月:Appleは日本の公正取引委員会の調査を受け、一部のアプリ内に外部サイトへのリンクを設け、課金の際、アップルへの手数料支払いを回避することを認めると発表(引用

・書籍や音楽、動画などを配信する「リーダーアプリ」が対象
・アプリ内に開発者のウェブサイトへのリンクを1つ設置することを認める


発端はEpic Gamesの訴訟から

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上記のように、発端はEpic Gamesの訴訟から様々な企業に連鎖してApple・Googleに対しての不満を声を上げたことから始まっています。

ポイントとしてはアプリストア市場を独占している上に決済手段は自社の決済しか認めないということは、独占禁止法(アメリカでは反トラスト法)に引っかかっているんじゃないかという点です。

現在GAFA4社の時価総額合計だけで約770兆円あり、日本企業全体の株の時価総額を上回ったとニュースが出ていましたが、それだけ利益を出して評価も上がっているということです。

近年アメリカではGAFAなどの企業が市場を席巻しているため、中小企業が伸びないため、企業買収の抑制などを目的に反トラスト法の変更も発表されました。そういった流れもポイントとしてはあると思われます。

ただしEpic Gamesの裁判はまだ継続中で、今回の譲歩はEpic Gameとの裁判を優位に進めるためとも言われています。

今回の決定もゲームアプリは対象外でEpic Gamesとしては納得せず食い下がると思うので、まだここからさらに譲歩した場合、新たな対応が発表される可能性もあるでしょうね。


開発者に与える影響の予測

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来年に変わるはずであろうルールを、今出ている情報からまとめると以下になります。

●書籍や音楽、動画などを配信する「リーダーアプリ」が対象
 →今回はリーダーアプリのみ。ゲームなどのアプリは対象外。予想するに、ストアのゲームの収益割合が大きいかつ、SpotifyやNetflixなどのアプリ課金を行っていない事業者との関係性を保ちたいからリーダーアプリのみに対象を絞ったか。

●アプリ内に開発者のウェブサイトへのリンクを1つ設置することを認める
 →1つとはランディングページが1つなのか、何が1つかは不明。もしランディングページを1つに制限されるのであれば、kindleなどのコンテンツ販売のユーザー体験は結局悪くなってしまう。

●開発者がリンクの近くに「こちらから購入したほうが安いです」のような誘導文を記載することを認めない方針の模様
 
→アプリ課金と自社課金両方設置した場合、ユーザーは混乱しそう。結果体験が悪くなる可能性がある。

ECアプリなど以下のガイドラインに合致するアプリは、元々自社決済が可能なので、今回の適用でいうと、マンガや動画などのメディア系アプリがメインの対象になるかと思います。

3.1.5(a)Appの外部で使用する商品やサービス:ユーザーがAppの外部で使用する商品やサービスをAppで購入できるようにする場合、そうした商品の支払いにはApp内課金以外(Apple Payやクレジットカードなど)の方法を使用する必要があります。(App Store Reviewガイドライン

日本では2022年の初めの方から適用されるとのことなので、アプリ開発事業者は決済導線をどうするか、この情報が少ない中で戦略を練る必要があります。

例えば、アプリ内課金のみを行っていて、独自決済手段を持たない事業者は競合が自社決済に価格を安くして誘導した場合、競争に負ける可能性があることなどを考えておく必要があります。


ユーザーに与える影響

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Amazon(kindle)、Spotify、Netflixなどのサービスも現状、手数料回避と思われますが、アプリ内課金を行っておらず、課金はすべて自社のwebサイトのみで行っていました。その場合は、もちろん現状はアプリ内からは自社サイトへの課金導線は貼れません。

そうなると結果的には、アプリ内課金を入れない限りは、課金の導線が遠くユーザービリティが悪くなることが問題でした。
Netflixなんて課金していない場合は、有料ユーザー限定のサービスなので、ログインだけしかできないという感じです。

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が、今回のように課金導線を置くことが認められれば、結果、ユーザーもサービスの恩恵に預かりやすいというメリットがあります。

私自信もkindleでよく本を買うのですが、試し読みから買う導線がわざわざwebで調べないと買えないのはとても使い勝手が悪いなあと思っています。そういったものが今回の対応で改善されることが見込まれます。

もちろんアプリ内課金を適用すれば、シームレスに課金することは可能ですが、やはり30%の手数料というのは企業からすると大きな障壁になり、避けたくなる気持ちも分かります。

企業の収益が増えることによって、ユーザーへのサービスが改善される余裕が出て、結果ユーザーへの価値が還元されるということも言えるかと思います。

なので今後web課金導線を導入する場合、開発者側としては、アプリ内課金と変わらないもしくは超えるくらいの購入体験を提供する必要はあるとは思います。

まとめ

間違いなく言えることは、アプリストアという市場がいま企業もユーザーも集まって、無くてはならないものになっている現状を考えると、アプリストアは多くの価値をもたらしたに違いありません。

今回の問題はその市場を独占しているにも関わらず、決済手段をアプリ内課金のみ縛っていることは独占禁止法に抵触しているのではないか、という部分でした。

Apple側の主張としては、決済を外部でできることによって安全性が落ち、詐欺サイトへの誘導などが可能になってしまうため、決済を限定しているとのことで、その場合、最終的にユーザーに不利益が被ってしまう可能性が出てくるので、まあ確かになあと思う点もあります。
(ただ通常のカード決済手数料が2〜3%に対し、30%は取りすぎだという意見もあったりするので、プラットフォーム運営という付加価値がありながらも、それもまた確かになあです。)

結局、利用するユーザーが安心で快適に利用できるサービスを提供すべきという点になると思うので、今回の対応を受けてアプリ事業者はそれをどう実現するか。そこがポイントになってくるんだろうなと思います。

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