7月28日📄🦭
私が住んでいる地域にB6判のコピー用紙が沢山舞い落ちてくるという予報を受けて学校の課外授業が休みになった。B6判というのは丁度単行本と同じ大きさだから恐らく、ハードカバーに当たって怪我をする生徒が出るのを防ぐための苦肉の策だったのだと思う。それにしても紙が舞い落ちてくるなんていうのは、江戸時代のええじゃないか以来なもんで、それもB6判というのは過去最大規模だそうだ。ヨーロッパの方では酸性雨が森林とかに大きな影響を及ぼしていると聞くが、この異常気象はどんな影響があるのだろう。紙は当然木から出来ている訳で、元木が森林に降り注いだらそれは自然に還ったということになるのか。否、多分違う。同じ物体同士がぶつかってもそれは融合されるとは限らないからだ。一旦思い浮かべてみてほしい。ここにワモンアザラシ一個体がいるとする。そこに極めて優しくソフトにもう一個体のワモンアザラシをぶつける。そうしたらどうだろう。そこには距離の詰め方が下手なワモンアザラシが二個体存在することになる。つまり、海棲哺乳類が密着した空間を人工的に作り出しただけに過ぎないのだ。だから、コピー用紙が森林に舞い落ちたところでそれらは決して相容れることなく、新たな環境問題を生むだけだ。森林にB6判を撒き散らすことはすなわち、来たる冬秋シーズンの山火事ラッシュを助長するだけなのだ。
そんなことを考えていたら思ったより午後になっていた。日本語を間違えているわけではない。午後だなぁという気持ちがここ最近で一番強く出た瞬間を説明するにはこれしか方法がなかったのだ。
午後ということはモーニングを過ぎてアフターヌーンに突入した、いわばイギリス人の最も輝ける時間帯、言い換えるならイギリス人の20代タイムであるから異邦人(イギリス人からみて)である私も浮き足立ち、30代くらいの気持ちで外に出てみた。30代らしく半袖に長ズボンを穿いて。
最初は日傘を持とうとしたのだが、「冷静に考えてB6判舞い落ちてくんのに日傘持ってたらモノボケだと思われるだろ笑。ウンナン極限ネタバトル! ザ・イロモネア 笑わせたら100万円(ウンナンきょくげんネタバトル! ザ・イロモネア わらわせたらひゃくまんえん)の比較的簡単なステージじゃないんだから笑」と独り言を言い、自宅の電子レンジ片手に歩き出した。電子レンジを選んだ理由は紙がいっぱい収納出来そうだからである。炊飯器は紙を丸めなきゃいけないし、冷蔵庫は流石に持てなかった。その点、電子レンジはB6判を二列に平積みしていけるから丁度いい。
結局、片道徒歩で20分のスーパーに行き、大雑把に言えば瓜科のもの(甘いものとほぼ味しないもの)と魚類のもの(調理済みと要調理)を買ってきた。電子レンジを持った私を見た知り合いの店員さんがやたらと硬い餅を薦めてきたが、「今日法事なんで」と適当に嘘をついて何とか買わずに済んだ。
帰り道、B6判のアンチがアイラブユーと書いたA 6判を太陽に透かしていた。「真っ赤に流れる君の血潮!!」と遠目から声をかけたら「やなせたかし!いずみたく!」と『手のひらを太陽に』の制作スタッフで応えてくれた。
地域共同体、素敵じゃん。
家で買ってきたものを片付けながら思った。私が戦国武将ならきっとこう詠むね。
「数え歌 ワモンアザラシの 数え方 加えてほしい ホトトギスかな」
一人だけ短歌でマウント取ろうと思う。