
餅搗きの後のピンチ
餅搗きは 春の恒例 華やぐ住まい (9)
昨日のOMAさんの投稿には、先生のあたたかなお人柄が思い出されて、じーんとしてしまいました。
さて、そんな先生。とにかく教え子たちと飲むこと、語り合うことが大好き。
餅搗きの後も、片付けのため最後まで残って下さった方とも、残ったお酒を飲み、眠りこけそうになりながらも、うん、うんと相槌。さすがに午前1時をまわると、最後のお客様もそろそろ失礼します、とお帰りになられます。そんな時、先生は、玄関を出て、門の階段の上に立ち、見えなくなるまで手を振り、見送られました。
実は、ここからが書生のピンチ!
よたよたとした千鳥取りにもかかわらず、「じゃあ、私はお風呂に入ります。」とおっしゃるのです! 酔っ払っているのに!! こんなに寒いのに!!!
書生としては焦り、今日はおやめになっては…などと必死で伝え、止めようとするのですが、大丈夫、大丈夫とお風呂へと消えていかれます。先生は、とても小さく痩せておられ、冷え性でしたので、温まってから、お休みになられたいのだろうと思いつつ、なんといっても高齢者。心配でなりません。
ちょっと不思議ですが、先生のお宅には、台所にもお風呂につながる扉があって、とにかく、先生の身に万が一のことがあってはならぬ!との思いで、台所に立って様子をうかがいます。
さっきまで、こくりこくりとしていた先生。何だかしーんとしている…。
扉はもちろん見えませんし開きません。まさか寝ているのでは!
「先生? 寝ておられませんか?」とたずねてみると「…はい、はい」との声。
湯船で寝られては大変なので、わざと大きな音を立てながら、残りの洗い物をし、最後の後片付けをしたものです。そして、無事上がられ「お風呂どうぞ」の声に、どれだけ、ほっとしたことか。私が心配性ということもあるかもしれませんが、
先生! 本当に心配しっぱなしだったんですよ!
ある時から、宴会の後は、先生がお風呂から出られるまでは、一人は不安なので、誰かに残ってもらい、洗い物をしつつ様子をうかがうことが、書生代々の重要伝達事項となったのでした。