NPO法人「住文化と文化遺産を守る会」
やっとの思い 選び抜く 年賀状傑作選 (9)
そんな兄貴肌な先生。いつも私たちを引っ張っていって下さいました。
先生が急逝される少し前から、自宅を「鈴木信太郎旧居」として登録文化財にすることを目指したいとおっしゃり、建物に関する資料整理や調査が動き出しました。
その一方で、登録文化財として使い続けて残していくためには、その運営を支える組織が必要ということで発足したのが、NPO「住文化と文化遺産を守る会」です。
以下、発足時に掲げた趣旨、目的です。
ちなみに、この会の名称「住文化と文化遺産を守る会」、略して「文文会」。
発案は先生。先生はこういう茶目っ気というか、ユーモアが大好き。
実は「文文会」というのは、神戸芸術工科大学の卒業生たちが、神戸の先生宅で行っていた研究会の集まりの名前。
先生は、神戸芸術工科大学で教鞭をとられる前は、東京大学工学部建築学科教授。ご自身の研究分野はもちろん、他分野の先生方との交流もとても盛んな方でしたし、鈴木研からは多くの住居学研究の先生方が巣立っておられます。
こうした名前を略称にすることで、大学を問わず、多くの研究者や教え子たちが集い、住居や住文化の研究とともに文化を伝える活動に役立ててほしい、との思いがおありだったのかなと、今になって感じます。
幸い、先生が急逝された後、仏文学者であったご令弟の鈴木道彦先生を初めとしたご遺族の方々のご意向によって、豊島区へ寄贈され、その後、調査や改修をへて、豊島区指定文化財「豊島区立鈴木信太郎記念館」として、現在は開館しています。
NPO設立の際、先生が特に大切にされていたのは、どんなふうに建物を使い続けていくか、ということ。東京というこの場所で、これだけの時代を、住み繋いできた住まいは他にあまり例がなく、建築としての高い価値があります。そして、今も、続き間座敷、縁側があって、茶の間があって、戦火を潜り抜けた書斎もある!
OMAさんがアップしてくれた写真のような集まりや「文文日記」に折あるごとに登場する季節を楽しむ様々な使い方、掃除や障子貼り等の住まいとの向き合い方、そうした姿を楽しくつなげ、時代をこえて、日本文化を感じてもらえる場所として生かされてほしい、生かしていきたい!
このマガジンは、その第一歩のつもりで綴っています。